輸入代理店対談 (株)タクトシュトック 庵 吾朗 氏 

本日はまだ立ち上げたばかりの輸入代理店(株)タクトシュトックの代表 庵 吾朗氏とお話をさせていただきました。

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島「庵さん。今日はよろしくお願いします。」

庵「島さんとかしこまって話をするのは初めてかもしれませんね。」

島「付き合いは本当古いですね。もう20年以上ですよ。」

庵「もうそんなになりますかね。」

島「デスクに庵さんの名刺が置いてあった時にはびっくりしました。」

庵「まずはと思い新しい名刺を持ってご挨拶行きましたが、ご不在でした。その後もお伺いしましたが、なかなか会えませんでした。」

島「最近はSTAY HOMEで日中でもご自宅にいるお客様も多く平日出かけること多いですね。さて庵さんと出会ったのは輸入代理店のハイ・ファイ・ジャパンの時になりますね。」

庵「そうですね。大学時代からオーディオが好きでその時に使用していた機器がハイ・ファイ・ジャパンの取扱い製品でした。その時にアフターケアをしてくれたのが代表の繁田氏でそれがきっかけで入社いたしました。」

島「MONITOR AUDIOやCREEK、AUDIO PRISMなどもそうでしたね。後期になりORPHEUSのイメージが強いですね。それからユキムさんですね。」

庵「そうですね。ユキムは2004年から2017年となります。」

島「製品は色々ありましたね。ORACLEやELACが印象深い代理店ではありますが、AURA NOTEやアナログ関連製品など」

庵「AURA NOTE発売時は本当にお世話になりました。もちろん色々な製品でお世話になっておりますが、ダイナの皆様にお世話になったのはSK-EXですね。」

島「これは会社でまとめて購入させていただき、多くのお客様に販売をさせていただきました。試聴レポートはこちら

庵「以前より静電気対策という考え方はありましたが、この製品から静電気に対する見直しが一層強くなった気がします。」

島「そうですね。除電ブラシも含めてSFCの製品は色々と製品化されましたね。」

庵「メーカー製品でありますが、企画をこちらでして製品化したものも多数ありました。」

島「なるほどですね。それからナスペックさんですね。」

庵「そうです。一度ユキムを退社した後に別のことをやろうかと考えておりましたが、色々とありナスペックさんにお世話になることになりました。」

島「ナスペックさんの時は広報でしたのであまり会う機会はありませんでしたね。」

庵「そうですね。ダイナさんは木村さんが担当しておりますのでお伺いをする機会はあまりなかったですね。一度ROKSANのアナログのイベントの準備でお伺いをしましたね。」

島「評論家の和田さんの時でしたね。あの後が面白かったですね。」

庵「あの時は楽しかったですね。」

島「さてそれから独立ですね。」

庵「色々な代理店で本当に勉強させていただきました。本当に感謝しております。きっかけとしては海外のショーに行ったりするとまだまだ日本で紹介されていない良い製品があるというのは実感しておりました。そこでそういった製品を日本で取り扱いたいという気持ちが出てきました。自分がほれ込んだ製品の日本のお客様にお届けしたいという気持ちですね。」

島「それがトラジ・モグハダムのVERTEREですね。」

庵「そうです。ROKSANの創業者のトラジ・モグハダム はROKSANを退社後新たな会社を立ち上げました。それがVERTEREになります。私自身アナログが本当に好きで、すぐに取り扱いを決めました。先日島さんにご販売いただきましたが、それが第一号でした。」

島「お客様からのリクエストで用意させていただき試聴させていただきましたが、素晴らしいプレーヤーですね。セッティングが本当に楽ですね。」

庵「そうなんですよね。アームも最初から搭載されておりますし、その辺りもトラジの親切心ですね。」

島「それよりも前に販売させていただいたのがEDISCREATIONです。こちらもお客様からの問い合わせでした。聞いたことの無い製品だなと思いましたが、輸入代理店をみると庵さんのところでびっくりでした。そこから庵さんとリスタートになりました。このEDISCREATIONも良い製品ですね。」


庵「営業が追いつかず申し訳ございません。こちらも既に島さんの方で数台販売してもらい本当に感謝しております。」

島「4Fではご存知の通りデータ再生にも力を入れており、光での伝送も推奨しております。このEDISCREATIONのFIBER BOX2は理に適っておりますし、電源が通常のものが使用できるというのがありがたいです。PSE問題もクリアしているのが凄いですね。」

庵「EDISCREATIONの代表は本当に熱心で色々な製品を購入して勉強されております。それで製品化したのがFIBER BOX2とHUBのSILENT SWICHになります。LINNなどの機器でも重宝するグラウンドの切り替えスィッチを装備しております。」

島「実に良い製品だと思います。他のブランドもありますよね。」

庵「6月に取り扱いをスタートしたのはKEITH MONKS というブランドのレコード・ディスククリーナーのPRODIGYになります。」

島「こちらもまだ試聴しておりませんので機会がありましたら是非お持ちください。」

庵「了解しました。もう一つブランドを取り扱っております。FINK teamというドイツのブランドです。ミュンヘンで行われたHIGH END 2019で惚れ込んだのがこのブランドのスピーカーになります。 その時に展示されたいたのがBORGというモデルですが、金額的な面で取り扱いを断念しておりました。しかし代表のカールハインツ・フィンク氏から弟モデルのKIMというモデルが完成したから聞いてみないかと言われてすぐに取り寄せをして試聴しました。それを聞いて正式に取り扱いをすることを決めました。」



島「庵さんがそこまで言うのであれば早く聞いてみたいですね。」

庵「早めに持っていきたいと思っております。」

島「是非。よろしくお願いします。さて庵さんは別の顔がありますね。クラシックの指揮者をされてますよね。会社名がそうですよね。」

庵「そうですね。タクトはドイツ語で指揮棒という意味ですが、TAKT(タクト)には、思いやりという意味があります。STOCKはストック。思いやりを集めていくような温かい会社でありたいと思っています。私自身指揮者としても活動しており、クラシックは本当に好きですが、音楽全般好きです。どうしてもクラシックのイメージが強く思われますが・・・。指揮者は仕事ではなくあくまでもプライベートでの活動になります。本職は輸入代理店です。」

島「クラシックのイメージが強いですが、話をすると色々な音楽に詳しいですよね。庵さんから紹介してもらい愛聴盤になったものも多いですよ。」

庵「有難うございます。そういってもらえると嬉しいですね。」

島「今お一人でやられていますよね。大変ですよね。」

庵「正式には2人ですね。岐阜に社員がいまして、営業はもちろん倉庫での出荷作業を担当してもらっています。もちろん会社が軌道にのったらスタッフは増やしていこうと思っております。」

島「最初はそうですよね。是非頑張ってください。最後に庵さんにとってのオーディオを語っていただけますか。」

庵「私にとってオーディオとは、生演奏とは別の感動を味わえる素敵な趣味だと思っています。私が大学生だった頃、周りの音大生は皆『生演奏を聴きにいくのにお金を使うから、オーディオはいい』と言っていました。もちろん、生演奏はオーディオ再生では得難い感動がある事も事実ですが、残念ながら私の大好きな指揮者トーマス・シッパーズはもう生きていませんし、ビートルズの生ライブを現在聴く事もできません。もちろん現役の音楽家の演奏も、それが外国のアーティストの場合、来日するか自身が海外に行かない限り生で聴く事はできません。現在では聴けない偉人たちの演奏や、なかなか聴けないアーティストの演奏を、素晴らしい音質で蘇らせてくれる、聴かせてくれる、それがオーディオです。

確かに生演奏はその場の雰囲気も含めて最高のエンターテインメントです。感動する生演奏を求めて何度もコンサートに足を運んでしまいます。ケント・ナガノ/モントリオール響が来日した時のサントリーホールでの「アルプス・シンフォニー」は、おそらく生きている間にこれ以上のアルプスを聴けることはないだろうと確信し、号泣しながら聴いていました。この感動は残念ながら3000万円のオーディオでも体験できません。3万円のチケットが安い!と思える瞬間です。

しかし。。。残念な事に3万円以上払った一流オケのコンサートが、常に最高の演奏をしてくれるとは限りません。何度「お金を返せ!」と思った事か。マーラーの交響曲を聴きにある世界一と言われるオケを聴きに行った時の事・・・2楽章までは素晴らしい演奏だったのですが、オーボエの超有名人が1音ミスったのです。その時、オケ全体の一体感が崩れた(気が抜けた?)のを感じ取ってしまいました。そこからの演奏はどうもしっくりこず、まさに残念極まれり。しかし、もしあのミスがなかったら素晴らしい演奏になっていたかもしれません。つまるところ私にとって、ライブやコンサートを聴きに行くのは一種のギャンブル的な要素もあるのです。

しかし、オーディオはそうではありません。聴きたい時にいつでもお気に入りの演奏を聴く事ができます。これがオーディオの一般的な醍醐味だと思いますが、私にとってはさらに「生では絶対に味わえない種類の感動」をオーディオは届けてくれると思っています。
例えば、私の大好きなドビュッシーの交響詩「海」。ライブでも何度も聴いてますし、感動的な演奏にも沢山出会いました。でもそれはあくまで客席で聴く、ステージから届けられる音楽です。

好きな曲だけにおそらくLPとCDなどを合わせると50枚以上持っていると思いますが、中でもデュトワが指揮するモントリオールの海は、素晴らしいスピーカーを用いて大音量で再生すると、それはもう大海原を大冒険できます。自身が海の中に入り込んだかのような感動です。この体験は多少の音楽の好みなど吹っ飛んでしまうモノであり、どんな名演の生演奏でも、そこがホールであるかぎり到達できないエンターテインメントです。指揮者が浴びている音圧に近いとでもいいましょうか。これはもうオーディオならでは。”生演奏以上”ではなく、”生演奏とは別物”の感動なのです。もちろんこれは、クラシックに限った事ではありません。

このオーディオならではの感動を、多くの音楽ファンの方々に体験していただいて、オーディオファンを増やしていきたいと心から思っています。」

島「庵さん。熱いコメントありがとうございます。私はそこまでクラシックに精通しておりませんが解ります。オーディオは時間旅行ですよね。これからスタートとなりますが、頑張ってください。」

庵「是非タクトシュトックをよろしくお願いいたします。」

島「久しぶりにお話しできて楽しかったです。」

庵「こちらこそです。ありがとうございました。」

2021年7月25日 DYNAMIC ADUIO 島 健悟 

この日に庵さんと VERTERE のMG-1PKGの初納品に行きました。お客様も非常に喜んでおられました。