[歌劇]アンドレア・シェニエ(ウンベルト・ジョルダーノ)

 

アンドレア・シェニエ http://wp.me/p5IIo9-Fc

アンドレア・シェニエ
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アンドレア・シェニエ(裏)

収録曲 [歌劇] アンドレア・シェニエ全4幕 LD2枚組(収録時間:123分)  [イタリア語/日本語字幕]
パイオニアLDC  ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団・バレエ団(指揮:リッカルド・シャイー)  1985年上演

アンドレア・シェニエ(詩人):ホセ・カレーラス(テノール)
カルロ・ジェラール(コアニー伯爵の従者):ピエロ・カップッチルリ(バリトン)
マッダレーナ(コアニー伯爵令嬢):エヴァ・マルトン(ソプラノ)
ベルシ(マッダレーナの侍女):シルヴァーナ・マッツィエリ(メッゾ・ソプラノ)
コアニー伯爵夫人:ネルラ・ヴェリ(メッゾ・ソプラノ)
ルーシェ(アンドレア・シェニエの友人):フランコ・フレデリーチ(バリトン)
マテュー(過激共和党員):シルヴェストロ・サンマリターノ(バス)
密偵:ブルーノ・ラザレッティ(テノール)
マデロン(老婆):ローザ・ラゲッツア(メッゾ・ソプラノ)
フレヴィル(作家):ジョゼッペ・リーヴァ(テノール)
修道院長:カルロ・ガイファ(テノール) 他

ジャケットの解説によると、この歌劇はフランス革命当時のパリの政情と民衆の蜂起を題材にしたもので、詩人アンドレア・シェニエはじめ登場人物の殆どは実在していたとのことです。

第一幕。1789年の冬の夜。コアニー伯爵の城内。家令の言い付けで、召使いたちが家具を動かしている。従者のジェラールが、召使いである年老いた自分の父が家具を運ぶのに苦労している姿を見て、「憎んでも憎み切れない豪奢な屋敷よ!おまえは虚しい虚飾の世界でしかない!今こそ貴様らの滅亡の時だ!」と歌い、ここで使われている人々の状況と彼らが働いているこの場所を厳しく呪う。しかしこの家の美しい娘マッダレーナが混血の侍女のベルシとともに姿を現すと、その怒りも和らいでいく。彼女の母であるコアニー伯爵夫人は、娘がもう始まろうとしている夜会のためにまだ着替えていないのを見て驚く。着飾ることにはもうウンザリと言いながら、マッダレーナはベルシとともにその場を去り、そこへ最初の客が到着する。

その中の一人は作家のフレヴィルで、彼はイタリア人の音楽家と将来有望な詩人アンドレア・シェニエを伴っている。修道院長による「第三階級の台頭によってアンリ四世の象が壊された。」といったパリの不穏な情報について、人々は何かと噂するが、フレヴィルは彼がこしらえた牧歌で皆の気分をそらせる。それが終わると、伯爵夫人はシェニエに詩の朗読を頼む。彼は自分のミューズは“はにかみ屋“だからと断る。この拒絶に刺激されて、マッダレーナは詩人を即興詞へと挑発する。彼がその場で即興した詞は、貧しい者たちの恥ずべき状況を描写し、貴族たちの意図的な惰情(だじょう)を非難するものだった。彼はまたマッダレーナが恋をからかっている、この崇高な感情について彼女は何もわかっていないと責める。マッダレーナは彼の許しを乞う。伯爵夫人の音頭でガヴォットの演奏が加わり、客人たちは踊りを始めた。その時、ジェラールが飢えた人々の群れを部屋に引き連れて来たので、伯爵夫人は怒り、彼らとジェラールに出て行くように命じる。ジェラールは父親に城を出るようにと頼み、その屈辱的な制服をはぎ取る。伯爵夫人は吹き始めた革命の嵐に逆らって、一同に中断していたガヴォットを踊り続けるようにと強い声で命じる。

第二幕。パリ。1794年の6月のある午後。大勢の人々が群がっている。過激共和党員のマテューがマラーの銅像を人々が引きずりおろすのを見張っている。高級娼婦の装いをしたベルシが密偵と戯れ合い、彼の疑いを買う。密偵は今や革命の指導者に一人であるジェラールに仕えている。ジェラールは少し前にベルシと一緒のところを見かけた謎の美少女を見つけ出すように彼に命じていた。密偵はカフェのテーブルに座っているアンドレア・シェニエの姿も見届ける。シェニエのもとに友人のルーシェがやってくる。ルーシェは彼に通行証を渡し、危険が迫るパリから逃げるようにと急き立てる。シェニエは「君は運命を信じないのか。僕は信じる。ある不思議な力を。それは良くも悪くも僕たちの行方を示すのだ。」と歌い。行くのをためらう。自分の運命に対する信念のためと、しばらく前から見知らぬ女性が手紙で彼に会いを打ち明けてきているためである。ルーシェは「それは下らない娼婦の罠だと。」と忠告するが、シェニエは己の信念に忠実だ。そしてついにその匿名の差出人が、彼に会う約束をしてきたのだ。

密偵は群衆がロベスピエールや他の革命の指導者たちを迎えている間に、ジェラールに報告をする。ベルシは詩人に近づき、手紙の主が来るから待っているようにと告げる。夕闇があたりを包む。マッダレーナがシェニエの前に姿を現し、「あなたはご立派になられて、私は絶えず怯えて、悲しくともいつかあなたが救ってくださると・・。」と歌い、貴族であるために身を隠し、ベルシだけが自分を守ってくれている悲しい運命を語る。二人は互いの愛を歌い上げるが、そんな二人の様子は目撃されていた。密偵がジェラールを呼び、ジェラールはマッダレーナに話しかける。ルーシェが彼女の逃げるのを助ける一方、シェニエはジェラールに決闘をしかけ重傷を負わせる。ジェラールはシェニエに逃げるようにと諭し、集まって来た群衆には「見知らぬやつにやられた。」と告げる。群衆は「ジロンド党のやつらに違いない。」叫び、復讐を口にする。

第三幕。数週間後の革命裁判の法廷。裁判はまだ始まっていないが、群衆が法廷の中でざわめいている。マテューは人々に向かって祖国のために寄付を募り、入隊を勧めて熱弁をふるう。傷の癒えたジェラールが登場し、人々に「祖国フランスを救うために金や若者を供出してほしい。」と呼びかける。盲目の老婆マデロンが前に出て、家族の中でたった一人生き残っている孫を、フランスに仕えるためにと差し出す。群衆は外に出ていき、死刑囚の護送車のうしろで革命の歌カルマニョールを歌い踊る。密偵が到着し、「恋に落ちた娘は、じっとしていられない。過去の幸せを追って、再びそれを求めようとするもの。」と歌い、シェニエを捕らえた今、マッダレーナはじきに見つかるだろうとジェラールに告げる。ジェラールはシェニエに対する告訴状を認め、署名するように言われるが、詩人の無実を考えると躊躇してしまう。

予想通りマッダレーナがシェニエの命ごいに現れる。ジェラールは彼女に愛を打ち明ける。恐ろしさも忘れて、マッダレーナはシェニエの命と引き換えなら喜んで彼のものになると言う。母は殺され家は焼かれ、一人自分を守ってくれるベルシは生活費を稼ぐために娼婦となったと歌うマッダレーナ。ジェラールは恥ずかしさと賛嘆の念に打ちのめされる。彼はシェニエを守ることを誓う。血に飢えた群衆と裁判官が集まった。裁判が始まると、詩人が自らの弁明を訴え、ジェラールもまた勇敢に「シェニエは革命の子だ。彼に桂冠を与えても、不名誉な死を与えてはいけない。」と、その弁護をする。しかし、群衆は彼に死を要求し、法廷もあっさり死刑を宣告してしまう。

第四幕。牢獄の中庭。シェニエは座って詩を書いている。ルーシェが傍らに付き添っている。牢番が現れ、もう時間がきたと言う。賄賂を使ってルーシェはシェニエが書き上げた詩を聞くために、もう少し時間をのばしてもらう。シェニエは作ったばかりの死「五月の晴れた日のように」を歌い上げる。そして友人同士は別れを告げ、ルーシェは去る。ジェラールとマッダレーナが牢に入って来る。宝石と金貨の入った財布を牢番に差し出して、マッダレーナは翌朝処刑される若い女囚と入れ替わる。これでマッダレーナはシェニエと一緒に死ぬことが出来る。ジェラールは二人のために最後のむなしい助命嘆願をしようと、ロベスピエールのもとへと急ぐ。シェニエが出て来てマッダレーナを見つけ、彼女への愛を語る。彼女は、彼と運命を共にする決心をしたと告げる。翌朝、二人を絞首台へ運ぶ護送車が牢の中庭に着くと、二人は「僕たちの死は愛の勝利。運命をたたえよう。死の時こそ私たちは永遠のものに。死よ、限りない愛を!」と歌い、共に死へ歩み出す。(幕)

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