[歌劇]カヴァレリア・ルスティカーナ(ピエトロ・マスカーニ)

 

カヴァレリア・ルスティカーナ http://wp.me/p5IIo9-FG

カヴァレリア・ルスティカーナ
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カヴァレリア・ルスティカーナ(裏)

収録曲 [歌劇] カヴァレリア・ルスティカーナ1幕物 LD1枚(収録時間:72分)  [イタリア語/日本語字幕]
キングレコード  NHK交響楽団、NHKイタリア・オペラ合唱団、藤原歌劇団合唱部、東京コラリアーズ
日本バレエ協会員/三期会  (指揮:ジュゼッペ・モレッリ)  1961年上演

サントゥッツァ(トゥリッドゥの恋人):ジュリエッタ・シミオナート(メッゾ・ソプラノ)
トゥリッドゥ(村の若者):アンジェロ・ロ・フォレーゼ(テノール)
アルフィオ(金持ちの馬車屋):アッティリオ・ドラーツィ(バリトン)
ルチア(トゥリッドゥの母親/居酒屋の女主人):アマリア・ピーニ(メッゾ・ソプラノ)
ローラ(アルフィオの妻/トゥリッドゥの不倫相手):アンナ・ディ・スタジオ(メッゾ・ソプラノ)

ジャケット表紙の上方に「NHK思い出のイタリア歌劇(4)」とあります。過去にNHKで放送したイタリア歌劇シリーズの4番目の作品のようです。解説によるとカヴァレリア・ルスティカーナとは「田舎の伊達男気質」という意味であるとのこと。1961年東京文化会館で上演されたこの作品は白黒映像。上記の5人の歌手以外の出演者はみな日本人。堂々たる脇役ぶりでした。

19世紀後半、シチリアのある村でのこと。村の若者トゥリッドゥの恋の歌が聞こえる。「ローラ、花のように清らかな君よ。君が姿を現すのは太陽に似ている。」。トゥリッドゥは美しいローラと結婚を約束していた。しかし、彼が軍隊に入隊している間に、ローラは金持ちの馬車屋アルフィオの女房になっていた。軍隊から帰郷したトゥリッドゥは、自分を捨てたローラへの当てつけに、村の娘サントゥッツァと深い仲になるが、それを嫉妬したローラは亭主の目を盗んでトゥリッドゥを誘惑し、二人は今も注目をしのぶ関係を続けていた。

舞台はシチリアのある村の広場。右手に教会の大きな入り口が見え、左手にはマンマ・ルチアの居酒屋がある。復活祭の日ののどかな朝である。初めは人影もなかった広場に次第に村人たちが集まって来る。村人たちは復活祭を祝う合唱をし、教会のミサに参加するため教会の中に消えていく。サントゥッツァが現れ、ルチアの家の方へ歩いていく。丁度戸口に出てきたマンマ・ルチアに、サントゥッツァは「トゥリッドゥはどこへ行ったのかしら?」と尋ねる。ルチアはなぜか素っ気ない態度で応対しているが、サントゥッツァが涙をこぼしながらあまりに必死な様子で尋ねるので、とうとう「うちの息子は、フランコフォンテへお酒を仕入れに行ったんだよ。」と応える。だが、サントゥッツァは本気にしない。誰かが、昨日の真夜中、この村で彼の姿を見かけた、と言っていたからだ。「そんなに疑うなら、家の中を探してみたらどう?」というルチアの言葉に、サントゥッツァは叫ぶ。「いいえダメ!あたしは捨てられた女。あなたの家には入れないわ。」彼女はすでにトゥリッドゥと抜き差しならぬ関係を続けていたのだ。

馬車屋のアルフィオが「馬は勇み、鈴は鳴り、ムチはうなる。」と歌いながら、村の男たちを従えて登場する。男たちが去ると、アルフィオはルチアの居酒屋へ立ち寄って酒を所望する。ルチアとの立ち話の中で、ふとトゥリッドゥの名が出たとき、アルフィオが「あいつ、今朝も俺の家のそばをうろついていた。」と言ったのを、サントゥッツァは聞き逃さなかった。「何だって?」と勢い込んで聞き返すルチアを、そばから「だまってて!」とサントゥッツァが意味ありげに制止する。教会の中から祈りの合唱が聞こえてきた。サントゥッツァも「ほむべきかな。主は死に給わず、よみがえり給えり。」と祈りを歌う。アルフィオが退場し、舞台にはサントゥッツァとルチアの二人きりになる。ルチアはさっき、アルフィオがトゥリッドゥの噂を口にしたとき、サントゥッツァがあわてて彼女を制止した理由を尋ねる。サントゥッツァは涙ながらにルチアに訴える。恋人ローラをアルフィオに奪われたトゥリッドゥは、寂しさを紛らわせるために自分を愛し、自分も心からトゥリッドゥを愛していたこと。しかし、嫉妬したローラが亭主持ちの身でありながらトゥリッドゥを誘惑し、自分からトゥリッドゥを奪ってしまったことを。ルチアはサントゥッツァの訴えを最初は不機嫌そうに聞いていたが、サントゥッツァの心を込めた言葉にようやく動かされ、聖母様にお祈りするために教会へ入っていく。

舞台にトゥリッドゥが姿を現す。彼の帰りを待っていたサントゥッツァに気付いたトゥリッドゥは思わず足を停めた。二人の間でトゲのある会話が交わされる。耐えきれなくなったサントゥッツァはローラを呪いながらトゥリッドゥに縋りつく。そんなサントゥッツァに「やめてくれ。俺はお前のくだらない嫉妬の奴隷になるのはゴメンだ。」と叫ぶトゥリッドゥ。それでもあきらめずに嘆願を繰り返すサントゥッツァ。その時、ローラの魅力的な歌声が聞こえて来る。「美しい花は多いけれど、彼のように美しいのはただ一つ、グラジオラスよ。」その妖艶な姿態を現したローラは、サントゥッツァを無視してトゥリッドゥに話しかける。ローラが教会の中に姿を消すと、再び二人の激しい言葉の応酬が始まった。そして遂にトゥリッドゥはサントゥッツァを突き放し、ローラを追って教会の中に入っていく。サントゥッツァの心の中に激しい怒りが込み上げ、彼女はトゥリッドゥを罵り、絶望のあまり倒れ込む。そこにアルフィオが登場する。サントゥッツァはここぞとばかり、「あなたが一生懸命に働いている間に、ローラはあなたの目をぬすみ、家門に泥を塗っていました。」とローラの不貞を訴える。名誉を汚され怒りに燃えたアルフィオは「血を見ねばおさまらぬ!愛情は憎しみになった。」と歌い、ローラとトゥリッドゥに復讐を誓う。

ミサが終わった教会から人々が出て来る。最後にローラとトゥリッドゥが出てきた。トゥリッドゥは上機嫌で男たちに「一杯やろうぜ!」と呼びかけ、居酒屋のテーブルから葡萄酒を手に取り「泡立つ酒は恋人の笑顔のように輝き、きらめく盃の中に甘い喜びをそそぐ。」と「乾杯の歌」を歌う。村の男たちも一緒に歌い出し、ローラとトゥリッドゥはお互いの恋と幸運のために乾杯する。そこへアルフィオが現れ一同に挨拶する。トゥリッドゥが盃を勧めると、それを拒絶するアルフィオの目は復讐に燃えている。突然トゥリッドゥがアルフィオに抱き付いたかと思うと、アルフィオの右の耳を噛んだ。これはシチリアの風習で決闘を挑むことを意味している。恐ろしい緊張と沈黙の中、アルフィオは裏庭で待っていると言い残して外に出る。

トゥリッドゥは母のルチアに別れの言葉を残し「もし、俺が帰って来なかったら、かわいそうなサントゥッツァを母親代わりになって面倒をみてやってくれ。僕はあの娘と結婚する誓いを立てたのだから。」と歌い、外に出て行く。村の広場は大勢の人で埋め尽くされている。やがて「トゥリッドゥが殺された!」という女の悲鳴が聞こえて来る。人々が狂乱状態に陥る中、サントゥッツァとルチアは、気を失って倒れてしまう。(幕)

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