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NHK大河ドラマ『青天を衝け』第34回ネタバレ感想 栄一と伝説の商人

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前回、栄一の前に大きく立ちはだかる壁になっていた三井組の三野村と大蔵卿の大久保利通がこの世を去り…、また、鹿児島に戻った西郷隆盛も西南戦争で戦死。この戦は政府の税収の9割というとてつもない金額を費やすこととなり、栄一は憤りを隠すことができませんでした。

明治11年、大久保亡き後の大蔵卿の座には大隈重信が就くことに(大蔵卿の大隈ってなんだか言葉的に言いづらいw)。厳しい財政をなんとか立て直すために大隈がとった政策は、不換紙幣(金と交換できないお金)を世に出回らせることでした。

しかし栄一は信用のおけない不換紙幣のバラマキ政策に納得できず、大隈に猛然と抗議する。政府の信用が下がればただの紙切れになってしまい民が路頭に迷う可能性があったからです。しかし、大隈はやたら政府(官)のやることに口出ししてくる栄一の態度に我慢がならない様子で、二人の関係はまたしても悪化、決裂してしまうことになってしまった。最初はあんなに意気投合してたのに…寂しいなぁ。

以下、第34回を見て気になったシーンもろもろネタバレあり

これまでの『青天を衝け』感想レポ

青天を衝け
青天を衝け
2021年度NHK大河ドラマ『青天を衝け』の感想レビュー

『青天を衝け』第34回 栄一と伝説の商人

2021年11月07日(日)放送 NHKBSプレミアム 18:00~18:45 ほか

出演:吉沢亮、高良健吾、橋本愛、山崎育三郎、ディーン・フジオカ、大倉孝二、中村芝翫、ほか

あらすじ

栄一(吉沢 亮)は、伊藤博文(山崎育三郎)の依頼で、商人たちが業種を超えて手を組むための組織、東京商法会議所を作る。一方、はじめて養育院を訪れた千代(橋本 愛)は、身寄りのない子供たちの寂しげな姿に心を打たれ、世話をしたいという思いを強くする。そんな中、栄一は岩崎弥太郎(中村芝翫)から宴席に誘われる。栄一と弥太郎は、商業で国を豊かにしようと意気投合するが、その手法を巡って激論、意見は真っ向から対立し、会合は物別れに終わる。

<公式HPより引用>

とりあえず政府がお札を大量に刷ったことで一時的に景気は回復したようでしたが、それに乗じて銀行を作りたいという商人が急増し栄一のもとに殺到していました(汗)。でもこういう時に調子に乗って銀行に手を出しまくるのって…後々の経営とか大丈夫なのかと心配になってしまう。皆目先のことしか見えてない感じだったからなぁ(苦笑)。
そんな彼らにうんざりしていた栄一は「己の利のために銀行を作るのではない!!」と一喝。貢物を持って揉み手をしていた商人たちはそれにビビッてたじろいじゃってましたねw。いつの世も、こういう輩はいるってことか。

岩崎弥太郎も銀行業に大いに興味を持っていたようでしたが、前島密に「今は海運業のことに専念してもらいたい」と釘を刺されていました。前島さんは明治4年にイギリスから帰国しこの時期には内務少輔に出世していたようです。郵便事業から途中で引き離されてしまった時には本当に気の毒だと思いましたが、またこうして元気な姿に遭えて嬉しかった。
前島から栄一のことについて少し話を聞いた弥太郎は「面白そうな人や」と、なにやら興味を抱いた様子。でもなんか企んでるように見えて仕方ないww。

渋沢家には銀行を作りたいと持参された商人たちからの豪華な食べ物がならんでいて、子供たちは目を輝かせて喜んでいました。栄一、もらうものはしっかりと頂いていたのね(笑)

長女のうたはだいぶ成長してしっかり者のお姉さんになりました。

栄一がふと机に目を向けると、里見八犬伝の本が置いてある。毎晩千代が子供たちに語って聞かせているらしい。その話を聞いた栄一は、幼い頃に長七郎や喜作たちと物語のまねごとをして遊んだ時のことを懐かしく思い出していました。あの頃はまだみんな無邪気で、その先の苛烈な未来など想像もしていなかったよね…。

子供たちの相手をしている栄一は銀行での煩わしい出来事から解放されたかのように楽しそう。吉沢亮くん、最後のほうは素で子供たちと戯れてたんじゃないかなw。将来いいお父さんになりそう。

オープニングが明けた後、久しぶりに徳川家康さんが登場!またお会いできてよかったーー!

「お久しぶりですなぁ~!」と家康さんも心なしか登場できて嬉しそうにしているように目ましたw。今回は20年前に結ばれた”不平等条約(安政の五か国条約)”についての導入解説。日本が未だ一等国の仲間入りができていないことを気にかけていらっしゃるようでした。
「徳川のせいだって?20年前のことですからなぁ…」とシレっと責任逃れしちゃうお茶目なコメントが面白かった(笑)。

政府では戦にあまりの多くのお金を費やしてしまったことで、一刻も早く不平等条約の改正をしなければと頭を悩ませていました。明治4年に岩倉使節団はその不平等条約改正に向けた予備交渉をする目的もあってアメリカへ渡ったわけですが、結局成果を得ることができませんでしたからね(汗)。
大隈重信と伊藤博文はハリー・パークスと交渉を開始。大蔵卿の大隈さんが日本語で愚痴をぶちまけ、その意味を冷静にまとめた伊藤博文が英語で伝えるというシステムはちょっと笑ったww。

「不平等条約の改正はすべての民の総意だ」と訴える伊藤でしたが、それに対してパークスは渋い顔をし、通訳のアーネスト・サトウからは「民の代表を集めた話し合いもできていないのに、なぜ条約改正が民の意志だと分かるのか」と鼻で笑われてしまいました。これを言われちゃ~~、何も言い返せないわなぁ(苦笑)。パークスたちの指摘はあまりにも日本の痛いところを突きすぎてた。

そこで伊藤は急遽栄一や喜作たちを呼び集め、欧米には”チェンバー・オブ・コマース”という商人の集まりがあってそこで話し合われた意見が民の意見としてみなされていることを話します。日本もぜひそれに倣って「民の声」を集めるために商人の為の会議所を作りたいと提案する。
しかし、三井物産の益田や日日新聞の福地、横浜で生糸の商いをしている喜作も「それは政府の勝手な都合だ。我々はそんなことやってる暇はない」と眉をひそめている。福地などは「かつて攘夷と言って外国人を襲ったのはどこの誰だったかのぅ」と強烈な伊藤に嫌味をぶち込んできた。伊藤さん、焼き討ちやっちゃった過去ありますからね(苦笑)。それに対して「昔のことは昔のことじゃ!」とムスっとしながら反論するいっくん@博文が面白かったww。

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ところが、栄一だけは「おかしれぇ!」と商人だけを集めた会議所を作ることに大いに興味を持った様子。福地たちは「なぜあんな話受けたんだ?」と詰め寄りましたが、それに対し蚕卵紙の事件の時に外国商人たちが集会を持っていたことに注目をしていたのだと語る。たとえ政府が本気で民の声を聞きたいわけではないと勘付いてはいても、商人たちが知恵を出し合うために語り合う場所は今後の為にもぜひ必要だと栄一は考えていたわけです。今こそ商人たちが力を合わせる時であると力説。

「民が力を合わせることができれば、官でなくても日本の代表として堂々と声を上げることができる。これは、民の地位を高める好機だ」

その言葉に、はじめは渋っていた面々も会議所設立に向けて動いてみる気になったようでした。

こうして、商人たちが業種を越えて手を組むための組織である「東京商法会議所」(後の東京商工会議所)設置のための計画が動き始めました。
余談ですが、私はかつて東京商工会議所で少しの期間働いたことがあります。その時から”渋沢栄一”の名前は知っていたのですが、こんな経緯で誕生していったのかというのは今回初めて知りました。自分が少しでも働いていた場所でもあるので、なんだかとても興味深かったです。

ちなみに、この時外国貿易委員に推薦された大倉喜八郎は「大倉財閥」を築いた人物で、後に「帝国ホテル」「ホテルオークラ」「日清製油」「帝国劇場」など多数の起業に携わります。個人的には「帝国劇場」にかなりお世話になってるのでw、何とも感慨深いものがある。

しかし、運輸事務委員を任せようと思っていた三菱の岩崎弥太郎はこの会合に出席することはありませんでした。参加メンバーたちは政府をバックに己の利を優先する悪評高い人物だと苦い顔をしていましたが、栄一は弥太郎を「この先日本を引っ張っていく商人だ」として高評価。なんとしても協力してほしいと思っている様子。タイプ的にはだいぶ違うと思うんだけど、この時はまだ栄一は弥太郎のことをよく知らなかっただろうから仕方ないかもね(苦笑)。

その弥太郎はというと、会議所への誘いについて「有象無象の集まりだ」とウンザリ顔w。全く気が進まない様子で、どう対処すればいいかを五代友厚に相談していました。
ところが五代は「とうとう先を越されてしまった!」と栄一の行動を大絶賛。自分も早く大阪に商法会議所を作らなければ!とやる気をみなぎらせている。弥太郎は五代から「会議所なんかやめたほうがいい」という回答を期待していただろうから、それとは正反対の反応がきたことに驚きを隠せない様子でしたね(笑)。

会議所というのはそんなに必要なものなのか?と弥太郎から尋ねられた五代は「商人同志手を結んで行かないと欧米に太刀打ちする商売をすることはできない」ときっぱり答える。「さすがは渋沢くんじゃ!」と手放しで賞賛する五代を見た弥太郎は、ますます”渋沢栄一”という人物に興味を抱いていくようでした。

その頃、渋沢家には栄一に学ぼうと若者たち(書生)が詰めかけ住み込むようになっていました。かつて栄一が惇忠に教えを求めていた時のことを思い出しますね。栄一も惇忠のような立場に成長したということか。なんだか感慨深い。

そんな彼らを世話していたのが千代でした。すると、ある若者が「渋沢先生が東京の米を買い占めている噂を聞いた」と伝えてきた。他の若者たちは栄一を妬んだ戯言に過ぎないと抗議しますが、渋沢家を襲う計画まであるらしいと聞くと一斉に「貧乏人の考えることは恐ろしい」と上から目線であざ笑う。

この様子を苛立ちながら眺めていた千代は、もしも暴漢が渋沢家に侵入したらどう行動するのかと彼らに問う。それに対して「まずは警察に連絡」と呑気な答えが返ってきた。自らの手で倒すような古い世の中とは違うとアッケラカンと笑いながら語る書生たちを目の当たりにした千代はため息をつき、「巡査が駆けつける間に暴漢に襲われたらどうするのですか」と畳みかける。そして、黙り込んでしまった彼らに自らの考えを伝える。

「今は昔と違って上下の身分の差もなくなりまことにありがたいことです。しかし、今を生きる若者が争いごとを他人事のように高みの見物し、文句だけを声高に叫んで満足するような人間に育ったとしたら、なんと情けないことか!!」

凛とした表情で若者たちの甘さを断罪する千代さんのなんと逞しく美しいことよ!!さらに千代が彼らを許せなかったのは、今の世を作る礎となった先人たちを”時代遅れ”だとして軽蔑したことでした。このことを突きつけられた書生たちはビビりまくってただただ頭を下げて謝罪するしかない。慌てて「いざとなったら闘う」と口々に言い出した彼らに、千代は「その勇気だけあればいい」と説くのでした。栄一よりも千代から教わったほうが得るべきものが多いのではないか!?

なんかこの場面、現代でも同じような光景があるよなぁと思いながら見てしまった。意識高い系というか、自分では何もできないくせにただ上から目線で偉そうに語る人って、いつの世にもいるもんだなと。昔のことをあざ笑う人っていうのも少なからずいるよなぁ…。リスペクトがない。千代さんの言葉は現代の人たちへの「喝」のようにも聞こえました。私も含めて…ね。

その日の夜、千代から「米を買い占めてる」と噂を立てられている話を聞いた栄一。襲われるかもしれないから用心するようにと心配する彼女に、「今の政府は貧しい者は己の努力が足りないのだから関わらないという姿勢になっている」と苦々しく告げます。これ、今の世でいう「自助」ってやつですかね。格差を生む政策…、現代の日本もそれと似た匂いを感じてしまう(汗)。歴史は繰り返す…ってやつでしょうか…。

栄一は、貧しい者が多いのは政治のせいでありそれを救う場所がないのが今の問題点だと考えているようでした。そんな彼に「養育院」が今どうなっているのかと尋ねる千代。入居者ばかりが増えて管理に手が行き届かないと頭を痛める栄一に、千代は「今度自分も連れて行ってほしい」と告げるのでした。以前から養育院については彼女も気にかけていたようでしたからね。

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しばらくしたある夏の日、栄一は岩崎弥太郎から会合の誘いを受けイソイソ嬉しそうに出かけて行きました。弥太郎のことは日本の商業の救世主になる、的な期待をかけていましたからね。そんな彼から誘いの話がきたことはさぞ心が躍ったかと思います。
弥太郎は栄一を招待するにあたって、キレイどころの芸者を数多く手配していたらしいですね。最上級のおもてなしで迎えられた栄一は上機嫌w。それどころか、きれいな芸者さんの接待を受けて鼻の下が伸び切ってるじゃないか(笑)。またお持ち帰りしちゃうんじゃないかとハラハラしたぞww。

いったん宴が終わると、弥太郎はさっそく「前からお前さんとはゆっくり話してみたかった」と切り出してくる。栄一もそう言葉をかけてもらって嬉しそう。さらには元百姓という身分も同じだという話題になり、ますます栄一は弥太郎に好印象を抱いてしまう。

「役人の仕打ちに腹が立って奉行所の壁に”官は賄賂を以て成り”と落書きしたことがある」と武勇伝のように語る弥太郎w。

「官は賄賂を以って為し、獄は愛憎に因って決す」とは、”役人は賄賂による仕事をし、気に喰わない奴は牢屋にぶち込んでいる”という意味です。きっかけは、弥太郎の父・弥次郎が庄屋と大喧嘩になり投獄されてしまったことでした。これを機に江戸から帰国した弥太郎は必死に奉行所に弁解を申し入れましたが相手にされず、その壁に怒りに任せて「官は~」と殴り書き。これが原因で投獄されてしまいました。
しかし、牢獄のなかで商人と出会いその教えを受けたことで「商人」を志すようになりました。7か月後に出獄し村を追放され、吉田東洋の開いていた塾に入塾することに。

このくだりは、大河ドラマ『龍馬伝』でも登場したなぁと懐かしく思い出してしまったw。

さらに弥太郎は「妙見山に登って”吾志を得ずんば再び山に登らず”と誓ったものだ」と豪快に笑いながら若き日のことを語る。それを聞いた栄一は、「自分も若い時に内山峡に登っていつか日本を救ってみせるという志をたてた」 とテンションが上がりますます意気投合してしまったw。

栄一がノリノリになるのを計算して自分の過去話をあえて語っているのではないかと思ってしまうほど弥太郎の話術は実に饒舌で惹きこまれやすい。もしや、事前に栄一が食いつきそうな話題をリサーチしたんじゃなかろうかw。あの弥太郎ならやりそうなことだww。

気持ちがよくなったところで話題は「武士の世が崩れた後」のことへ。栄一は今の政府の役人は未だに「頭の中が武士のままだ」とため息をつく。そのうえで、国を豊かにすることに興味がない政府に引換え、弥太郎は国を豊かにする先頭に立っていると大絶賛。
栄一から極上の褒め言葉をもらった弥太郎も気分がよくなったようで「この手で必ず国を強くしてみせる」と意気込んでみせる。ここまでは二人の話し合いは至極平和で分かり合えているように見えました。ところが、「日本を一等国にするためには、儲けに儲けて国を強くしなければならない」と金の話を弥太郎が持ち出してきたことで風向きが微妙に変化。

栄一は金の話を絡めてきた弥太郎に少し違和感を覚えましたが、弥太郎はそんなことお構いなしに西南戦争で大儲けしたことを大笑いしながら豪快に話しているw。「これからは、金の世ぜよ!」とテンションが上がり、その勢いで栄一に今後の実業の展望について問いかけてきた。
金が第一主義のような話を聞かされた栄一は、気持ちがざわつくのを感じながらも必死にそれを隠して平静を取り戻そうとしてました(汗)。しかし弥太郎は「合本法は今後の商いでは成立しない」とさらに続けて畳みかけてくる。

「強い者が上に立ち、その意見で人々を動かしてこそ、正しい商いができる!」

この言葉を聞いた栄一は極めて冷静に「むろん、合本です」と真っ向からその考えを否定する。多くの民から金を集め、大きな流れを作りそこで得た利をまた多くの民に還元する。これこそが商売の基本だという理念を栄一は曲げようとしない。エラールから得た知識に雷を受けたがごとく感動してましたから、合本こそが日本を豊かにする唯一の未知だと信じて疑わないところが大きかったと思います。

しかし弥太郎も「そんなことはまどろっこしいだけだ」と言い返してくる。事業は一人の経済の才覚のある人物に任せて、その人の考えだけで事を進めていくことが最善だと考えているという。つまり、船頭は一人いれば十分だということです。その考えも然りではあるなぁと思ってしまいますね。

しかし栄一は、任せられた人物だけに権力が集中することはあってはならないと考えている。あくまでも「皆で大きくなる」というのが彼の理想なのです。

話がかみ合わず平行線をたどりだした時、弥太郎は「お前の考えは所詮おとぎ話に過ぎない」と言い放ってきた。自分たちがガッポリ儲けて税を納めていかないとすぐにでも日本は破産してしまうと主張。これにはさすがの栄一も言い返す言葉が見つからず黙り込んでしまった。現実を突きつけられた気持ちにさせられちゃったかなぁ…。
それを見た弥太郎はシメシメといった雰囲気になり、さらに猛攻をかけてくるw。「お前の周りの商人たちは実はみんな己の利益のことばかり考えているはずだ」と指摘。

「欲は罪ではない。欲のある人間だけが前進する。己の儲けが嬉しくてたまらないから全力を尽くすのだ」

弥太郎さんは本当に痛いところをガンガン突いてくる(汗)。商人たちの本音を見事に言い当てているような言葉だなと思いました。この先の世の中は経済の才覚のある者だけが生き残っていくと考えている弥太郎は、貧乏人に構っている暇はないと切り捨てる。商売の厳しい世界を見てきたからこそこういう考えに傾いていったのかもしれません。
弥太郎は栄一も自分と同じ側の人間だと評価しているようで、一緒に手を組まないかと誘って来た。自分たちだけの力で国を動かしていこうではないかと最後の一押しとばかりに超熱弁を振るってくる弥太郎。実業界を自分たちの手で制圧していこうという野望を惜しげもなく栄一に突き付けてくる。

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しかし、栄一はいくらキレイどころの芸者さんに囲まれてもw今回ばかりはその話に乗る気持ちにはなりませんでした。弥太郎の激しすぎる熱弁(というか、芝翫さんの大熱演)に圧倒されたようにも見えたのですがw、栄一には栄一の目指す商いの世界観があるわけで、どうしても「才覚ある人物だけが商いを征服するべきだ」という弥太郎の考え方を受け入れることはできなかった。

「違う!断じて違う!私は己のみ強くなることに望みはありません。皆で変わらなければ意味がないんだ!!私とあなたは考えが根本から違う」

実際に弥太郎と会って話して、やっと自分とは違う人種なのだと悟ることができた栄一。それまでは商いをリードする立派な人物と高く評価していたから、実際の考えを聞いたときはショックも大きかったでしょうね。
そんな栄一を弥太郎は「青二才が」的に見下したように大笑いしていましたが、怒って帰ると言い出した彼を「もう少し冷静になって話をしよう」と引き留めました。おそらくは、あともう一押しすれば簡単に堕ちるはずだという確信が弥太郎の中にあったのかもしれない(苦笑)。

それでも帰る気持ちの方が勝っていた栄一が廊下に立ち尽くしていると…、向こう側に手招きしている女性の姿が目に留まる。とりあえずその場はトイレに行くと誤魔化した栄一が誘われる方へ行くと…、そこにいたのは芸者に三味線を教えるためたまたま近くの部屋にいた円四郎の妻・やすだった。
懐かしい再会を喜び合う二人。最後に会ったのは、まだ円四郎が存命の頃だったものなぁ。やすは「渋沢」という名前を聞いてもしやと思いこっそりと部屋の外で様子を伺っていたのだという。

やり取りを聞いていたやすは、栄一が引き留められ困っていることを察してこっそりと裏口の逃げ道ルートを確保してくれていました。なんという心配り!弥太郎には「好みの芸者を連れ帰った」と誤魔化しておくからとアフターケアも抜かりないw。でもこれ、千代さんにだけは絶対に耳に入れちゃいけない話になるので慎重にしないとねww。
ありがたく用意してくれた場所から帰ろうとした栄一にやすは言葉をかけました。

「あんたはあんたの道を行きな。きっと、いい世にしておくれよ」

町で貧乏している者たちは「徳川の世のほうがましだった」と噂をたてているし、維新になってから戦も頻発していることに辟易としていると語るやす。そんな彼女に栄一も「私も戦は嫌いだ」と答える。その言葉に安心したやすは、円四郎のためにも良い世の中にしてほしいと告げました。栄一の脳裏に、かつて交わした円四郎との最後の言葉が蘇ってくる。

「お前はお前のまま生き抜け。必ずだ」

あの時彼はやがて来る未来を予想していたかのように語っているように見えました。新しい世の中になり、様々な考え方の人物と栄一が出会うこともきっと予感していたのかもしれない。それでも、栄一には自分の信念を曲げずそのまま真っ直ぐ生き抜いてほしいと…。
まるで円四郎がやすの体を借りて栄一に告げた言葉のように思えてしまった。弥太郎の言葉に押され揺らいでしまいそうになる気持ちを、円四郎は立て直しに降りてきてくれていたのかもしれない。それくらい、「お前のまま生き抜け、必ずだ」というあの時の言葉は見ているこちらの胸にも深く響いてウルウルっときてしまいました(涙)。

栄一は「粉骨砕身いたします」と気持ちを新たにしてその場を立ち去りました。商売には色々な側面がある。弥太郎のような考え方も悪いわけではない(ただ、権力が一人に集中すると汚職に発展する危険性もあるかなぁとは思うけど)。それでも、栄一は栄一の理想とする商売を追求していけばいいと思います。
それにしても、栄一が帰ったと知ったあとの弥太郎の笑いっぷりは豪快だったなぁ。芝翫さん、熱演のMAX越えてるんじゃないだろうかとおもったくらいw。立派な髭も扇子の風でめちゃめちゃ揺れまくってたな(笑)。この人と今後戦っていくことになるとは…こりゃ栄一大変そうだw。

数日後、やすのもとにある一人の女性が訪ねてきた。横浜で羽振りのいい商売をしていた伊勢八が店を潰した挙句に亡くなってしまったらしい。経済界に生まれた格差の犠牲になってしまったということか。
彼女はその伊勢八の娘で、妹たちの面倒をみるために芸者になりたいからとやすを頼ってきたという。やすは芸者になるための厳しさを知っているため、そんなお嬢さんだったら誰かのお妾さんになったほうが生活に困らないのではないかと考えていたようですが、訪ねてきた女性はプライドが高いらしくその話は嫌だと断っていると。仕方なくやすは彼女を受け入れざるを得ませんでした。

この伊勢八の娘・伊藤兼子はのちのち栄一と関わりを持つことになりますが、この時はまだ知る由もありません。大島優子さんの今後のお芝居に期待。

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同じころ、栄一は千代を連れて東京養育院を訪ねていた。一時期はかなり劣悪な環境だったようですが、栄一の尽力によりだいぶ改善されたようで入居者からも大いに慕われていました。

子供部屋に案内された千代は最初接し方に戸惑いを感じたようでしたが、綻びだらけの着物を渡されて落胆する子供たちを見て裁縫をすることを思いつく。子供たちもそれに倣い、千代を中心に裁縫教室のような楽しい雰囲気へと変わっていきました。
ある子供が縫物の途中で針を指に刺してしまうハプニングが起きた時、千代は必死に我慢する彼女の傍に寄り添いながら優しく語り掛ける。

「痛かったら、泣いてもいいんだよ。誰だって、血が出れば痛いんだから」

大人の目を気にして泣けなかった子供が、千代の優しい言葉に心をほぐされ大声で泣き声を上げる。これまで感情を押し殺し叱られないように気を遣って生きてきた子供たちの心情を、千代はこの場に来て痛感させられたのかもしれない。大粒の涙を流して泣く子供をあやしながら優しく抱きしめる彼女の姿は、まるで聖母のようで神々しかった…。
思い上がった若い書生には凛とした態度で一喝し、心に傷を持った子供たちには聖母のような優しさで接する千代。どちらも愛情があってこその行為。本当に非の打ち所のない素晴らしい女性だったのだなぁと改めて感動してしまった。

そんな妻の様子を目の当たりにした栄一は、その日の養育院の夕餉の手伝いを買って出る。千代と共に支度をするなかで「これから毎月、共にここの子供たちの顔を見に来よう」と提案。親にはなれないかもしれないけれど、多く顔を合わせていれば何かを変えることができるかもしれないと語る夫の言葉に千代は嬉しそうに微笑んで受け入れるのでした。

千代はそれから何度も養育院に足を運んだようです。月一よりも多く通っていたのかもしれないですね。時にはくにとその娘のふみも一緒に同行して養育院の子供たちと触れ合っていました。くにさん親子がちゃんと千代さんに受け入れられていてよかった…。

一方、栄一はガスや電気など人々の暮らしに直結する事業の発展に力を入れていました。彼のおかげで今の暮らしができるようになっているのだと思うと本当にありがたくて頭が下がる想いがします。

そんなある日、栄一のもとにやってきた伊藤博文と岩倉具視が「アメリカのグラント将軍が来日することになった」と知らせてくる。

ユリシーズ・シンプソン・グラントは、南北戦争で北軍に勝利をもたらした偉大な司令官として英雄視されていました。1868年には第18代大統領に選出、1872年に岩倉使節団と面会をしています。大統領を2期務めたのち、1877年に任期を終えることに。大統領を退き将軍の地位になったグラントは妻と世界旅行の旅に出て、最初にイギリスを訪問。2カ国目に選ばれたのが日本でした(1879年)。

喜作はグラントの地位について「アメリカの前様のようなものか!」と納得しようとしていましたが、それに対して隣に座っていた福地が「いや、違うが…」と低い声でツッコミを入れていたのが面白かった(笑)。

政府としては、日本が一等国と認められる好機であり、なおかつ不平等条約改正に向けての糸口を見つけられるかもしれないといった思惑があるようで、ぜひともグラント将軍の来日を成功させたいと考えていました。そのためには、最上級の”おもてなし”をする必要があると告げる伊藤。欧米では王室や政府のほかにもその土地の市民の歓迎が当たり前となっていることから、日本もそれに倣った歓迎をしなければならないという。

ということで、伊藤と岩倉は栄一たちにも「民の代表」としてグラント将軍のもてなしに力を貸してほしいと頼みに来たわけです。喜作や福地は「また政府の無理難題だ」と嫌味を言い協力したがりませんでしたが、栄一だけは違いました。

「陛下や政府がいかに立派でも、民も相応に立派でなければ日本は世界から一等国と認められない。官と民が一つとなって前大統領をもてなすことができれば、必ずや認められる!」

栄一の熱弁に喜作や福地は呆れ顔でしたがww、伊藤としては願ってもない助け舟。栄一は目先のことではなく常に先を見据えていますよね。アメリカの要人をもてなすことに成功した先に、新しく生まれ変わる日本の姿があるはずだという確信めいたものがあったように見えました。こういう先見の明みたいなところ、本当にすごいと思う。

やる気に満ち溢れた栄一を見た岩倉さんが「時代は変わりますのやな…」と少し呆然とした表情でつぶやいていたのも印象的でした。グラント将軍のもてなし話を持ちだしたものの、岩倉自身はまだ時代の流れについて行けてない様子でしたよね。あまりにも短期間で色々な出来事が変化していたでしょうから、それに考えが追いついていかない、というのは仕方がないことだったかもしれません。

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帰宅後、さっそく千代やうた、よしも呼んで一緒にグラント将軍のもてなしをしてほしいと話す栄一と喜作。千代たちはビックリ仰天していましたが、栄一は「一等国では男と女の区別がない」と意気揚々と語る。今でいう男女平等の世界ということでしょうが、当時の日本の女性たちからすれば、公の場で夫が妻を同伴するなんて話は衝撃以外のなにものでもなかったのではないかと(汗)。

国の代表の一員としてグラント将軍をもてなしてほしいと改めて頼む喜作でしたが、よしは「そんなのムリ!」と尻込みしてしまう。うたも「英語ができるんだからかっさまたちを助けてやってほしい」という父の言葉に動揺を隠せない。

しかし千代は戸惑うよしとうたに「頑張んべぇ!」と声をかけました。女性として大きな仕事を任せてもらえたことに千代は大きな喜びを感じていたのです。かつて惇忠が娘に富岡製糸場の女工として来てくれないかと頼んだ時に、母のやへさんが「男が頭を下げて頼んでくる時代が来たのが嬉しい」と語っていた場面を少し思い出しました。

千代の言葉でやる気になったよしとうたではありましたが、何から始めたらいいのか分からない。異人をもてなすなど、彼女たちにとってはまさに未知の世界の出来事。手探り状態での”おもてなし”作戦はどうなることやら!?その顛末は来週ということで。今回もあっという間の43分間でした。

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