三重県津市のルーブル彫刻美術館・大観音寺に行ってきました。
ローカル線とはいえ、駅前にあるにも拘らず、この建物以外におおよそ施設がなく、雨とはいえほとんど人もおらず寂れていました。
ミュージアムショップもスカスカだし、レストランは閉まってるし、係の人は数人しかいないし・・・。
閑古鳥な状況に反して、展示内容はルーブルを始め大英博物館、メトロポリタン美術館で型どりした彫刻という大変豪勢なもの。
開館時にはルーブル美術館の館長がテープカットに訪れています。
日本と違いフランスではルーブルの館長と言えば王族並みのセレブでしょうから、当時の盛況さが分かります。
建物は黒川紀章氏設計ですが、氏らしさを感じるのは国立民族学博物館に見られる正方形の多用や赤い半円状の屋根くらい。
それよりルーブルのパクリのピラミッド屋根が目を惹きます。
しかしルーブルのように逆ピラミッドになってないし、動線とも関係ないので如何にもパクリな印象が強いです。2階への階段も閉鎖されているし・・・
また建物全体もこのピラミッドの周囲に狭い展示室が廊下状にあるだけで、かなり手狭。その分作品が隙間なく敷き詰められている印象です。
同じ模造品でも大塚国際美術館とは雲泥の差です。
オリジナル作品も少数ながら存在し、中央に鎮座する巨大な千手観音や・・・
漫画家が書いたカッパ絵のレリーフがあります。
1987年開館当時のものなのか、知らない作家がほとんどですが・・・
レストランが閉まっているのは先に書きましたが、ミュージアムショップもスカスカ。ルーブルの姉妹館なら本家のグッズが売ってるのかと思いましたが、全くそんなものはなく、写真のような80年代センスの手提げ袋だけ買いました。カタログも開館当時のものっぽい。そもそもこのショップにも人がおらず、買う時にはもぎりのおじさん兼警備員さんを呼ぶスタイル。
この奥に大観音寺があります。先の美術館もこのお寺を開山した人が作ったそうです。
こちらもカラオケ観音だの、お遍路や西国三十三か所を一挙に回れるだの、ご利益のテーマパークです。
新興宗教チックな作りの通り、こちらもお坊さんの姿が見えず、売店のおばちゃんが清掃から御朱印の作成まで一人ですべてこなすスタイル。実はこのの職員さんってすごく有能?
都築響一氏の著書で有名なメルヘン彫刻群もありました。
氏の撮影時期から20年くらいたってると思いますが、塗装がはがれてぼろくなっていました。
散々書きましたが、B級スポットとしてのセンスは一流(変な言い方ですが)。
一番笑ったのは建物の裏にも表にも同じ彫刻があること。
「型どりだからついで2体作ろう」ということでしょうか?
またルーブルの本物の傷まで写し取ったという彫刻群は専門家には非常に評価が高いみたいです。
閑散とした様子から閉鎖も間のなくと感じました。昭和のバブル遺産として閉鎖前にぜひ行きたいところです。★★★