伊勢物語-第九十一段 惜しめども

 
伊勢物語







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

(原文)

むかし、月日のゆくをさへ嘆く男、三月やよひつごもりがたに、

和歌(165)

をしめども春のかぎりの今日の日の夕暮にさへなりにけるかな

 

(現代訳)

昔、月日が過ぎ行くことまでも嘆く男が、三月の末に次のように詠んだ、

和歌(165)

月日が経つのを惜しんでも、春が終わる今日という日も、すでに夕暮れにまでなってしまったなぁ

過ぎゆく春を惜しんでいます、「惜春」ですね。

 

第八十八段 月をもめでじ

の男と同じ男でしょうか。

美しい月さえも、月日が経つのを想像させる…と嘆いていました。

 

この段の男も、過ぎゆく今年の春、いや今日のこの瞬間さえももう戻ることはない…と嘆いています。

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