湯種で作る食パンの方法とコツ

パンは材料が同じでも製法を変えることで全く違った食感や味わいになったりします。

そこで今回は、もちもち感が長持ちする「湯種製法」について作り方をご紹介しつつポイントの解説をしていこうと思います。

湯種製法ってどんな製法?

湯種とは、小麦粉に熱湯をかけて糊化させたものです。

デンプンは水分を含んで加熱させると、水分を抱え込んだまま柔らかいゲルの状態になります。それを糊化といい、よりたくさんの水分を抱え込むことができるのです。

この湯種をパン生地に練り込むことで、通常の製法以上にたくさんの水分を生地に含ませることができます。

生地に水分が多いということはその分しっとり感も強くて、パサつきにくいパンに仕上がります。

作り方

レシピ

材料ベーカーズ%1斤分1.5斤分
強力粉(カメリヤ)30%85g123g
熱湯30%85g123g
強力粉(カメリヤ)70%195g287g
42% 115g172g
砂糖10%30g41g
1.5%4g6g
イースト(赤サフ)1.2%4g5g
バター(無塩)10%30g41g

生地の配合のポイント

今回は湯種を学ぶレシピになっているので、使う材料はとてもシンプルで湯種のもちもち感をきちんと楽しめる配合になっています。

湯種はたっぷりの水分を使って作ります。湯種がきちんと作れていないとベタベタしていつまでもまとまらないので、湯種の作り方のコツとポイントをきちんとおさせていただきたいレシピです。

タイムテーブル

手順使用時間理想の温度
湯種を作る3分熱湯 100℃
湯種を寝かせる3時間〜24時間冷蔵庫(4~6℃)
本捏ね生地を作る8~10分
バターを入れてこねる5分
湯種を入れる5分
一次発酵50~60分30~40℃
ベンチタイム10分
成形3分
最終発酵45~55分30~40℃
焼成15〜20分 → 10分180℃ → 210℃
※焼成時間は一斤なら180℃の焼成は15分で、1.5斤なら20分で焼きましょう。

湯種の作り方

湯種のポイントはただ一つ、きちんと沸騰した状態の熱湯を使って糊化させることです。

温度が低いと小麦粉が糊化仕切らずに水っぽい状態になってしまいます。

最初の手順はまずは使う量よりの多めの熱湯と強力粉を用意しておきます。

熱湯が用意できたら、湯種を混ぜるボールに熱湯を注いで温めておきましょう

温めておかないとだいぶ温度をボールに持っていかれるので結構冷めてしまいます。

熱湯を量って準備ができたら、冷めないうちに強力粉と熱湯を合わせてひとまとまりになるまでかき混ぜます。

混ざって手にくっつかない状態になったら完成です。

湯種は乾燥しないようにぴっちりラップで包んで、3時間以上休ませて生地を落ち着かせておきましょう。

休ませることで水分が分散して質感が均一になるし、甘みも増します。

本捏ね生地作り

次にパン生地を作っていきます。

バター以外の材料をボールに入れてひとまとまりになるまで混ぜます。

台の上に出したら表面が滑らかになるまで捏ねていきます。

湯種が入る前の生地だとまとまりやすくて手にもくっつかないので捏ねやすいと思います。

生地に滑らかさが出てきたら、バターを入れてさらに捏ねます。

5分も捏ねると油っぽさが消えて質感が均一になってくるので、そうしたら湯種を少しずつちぎって加えます。

一気に加えると生地にムラができやすくなるので、3回くらいに分けて入れるといいでしょう。

湯種が全部入ってから、生地の状態が均一で薄い膜が張る状態になったらこねあがりです。

湯種は生地のつながり成分のグルテンが熱湯によって壊されているので、湯種の入る生地はつながりが弱くてもろい状態です。

湯種が多く入れば入るほどもちもち感としっとり感は強くなりますが、きちんと捏ねられてないと発酵中に膨らまなかったり、焼いた時にボリュームが出にくかったりします。

そのため、今回のレシピでは通常よりも少し生地量を多くしています。

一次発酵(35℃ 50~60分)

生地が乾燥しないようにラップを被せてから生地の大きさが2倍くらいになるまで発酵させます。

オーブンに発酵機能がある場合や発酵器がある場合はそれを使うとスムーズだと思いますが、なければ部屋の温かいところで大きくなるまで時間をかけて待ちましょう。(発酵は時間よりも大きさで判断します。)

発酵が終わったら、生地を潰して余分なガスを抜きます。(ガス抜き)

丸く整えて生地を10分ほど休ませておきます。生地は圧力をかけるほど縮みやすくなるので、休ませることで引き締まった生地を柔らかくする効果があります。(ベンチタイム)

成形

型の幅と同じ大きさに丸く広げます。

手前から巻いていき、とじ目を軽く閉じます。

とじ目を下にした状態でバターを塗った型の中に入れて発酵させます。

発酵中は生地が乾燥しないように濡れ布巾やラップを被せておきましょう。

最終発酵(35度 45~55分)

大きさが型の9割くらいまでしっかり発酵させてから焼成します。

生地の発酵が終わる15分くらい前にオーブンの予熱の準備をしておきましょう。型で焼くパンは型が温まるまでに時間がかかるのでそのタイムラグを少なくするために天板ごと予熱をしましょう。(180度 35分)

湯種の生地は膨らみにくいので、きちんとイーストの活性をあげて、きちんと生地を休ませて柔らかくしてから焼いていきます。

角食パンにする場合は蓋をして焼きます。

焼成(180℃ 10~15分 → 210℃ 10分)

焼成は2段階に分けます。

まずは180度の低い温度でゆっくりと内側まで火を通して柔らかさを出していきます。

低い温度のままだと型から出した時にやわからすぎて腰折れの原因になるので、そのあと210℃に温度をあげて焼き上げることで外側の部分がこんがり焼けるので、パン全体を支える骨格になります。

外はカリッと中はふんわりモチモチの状態に焼き上げることができます。

型から出したら、しっかりと粗熱をとってから切っていきます。

大きなパンの焼きたての内側は水分がまだ多くてゲルのような状態になっています。その状態できると断面がくっついてしまったり、パンがクシャッと潰れてしまいます。

編集後記

一般的に家庭で作るパンのレシピはストレート法がほとんどで、湯種製法や中種法などはあまり見る機会が少ない気がします。

でも、パンは製法を変えるだけで、次の日も美味しく食べられる方法がいくつもあります。

確かに家庭で作るパンは焼きたてが美味しいのは事実ですが、できれば次の日も美味しく食べたいしですよね。

それ以上に、美味しいパンを焼ける方法を自分が使えるようになるという成長を実感できることがパン作りをしていての喜びだと思います。

学ぼうとすれば人は何歳からでも進歩できるし、学びに終わりはないし、人間の進歩にも終わりがないと思っています。

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