システム情報をPEGレシオで分析してみる

PEGレシオとは





株価の割安、割高の判断をするときに、一般的にPER(株価収益率)が使われます。
一般的に平均はPERが15倍前後と言われたりもします。

 

しかし、PERは業種によって基準が異なります。
そしてなにより、成長の度合いによって高PERが許される場合もあるのです。

 

そのため、高成長株がつけているPERが妥当かどうかを知りたいと思います。
そんなときに便利なのが、成長度合いを加味して判断することのできる数字であるPEGレシオというものになります。

 

PEGレシオとは、PER(株価収益率)÷ 利益成長率 で計算できます。
そして、その値が1以下が割安、1~2が適正、2以上が割高、ということになります。

 

例えば、PERが25倍の株は、それだけを聞くと割高な感じがするかもしれません。
しかし成長度合いを加味してみると、結果は異なってきます。

① その会社の利益が1年で10%成長しているとすれば、25÷10=2.5 ということで割高、ということになります。
② その会社の利益が1年で20%成長しているとすれば、25÷20=1.25 ということで適正、ということになります。
③ その会社の利益が1年で30%成長しているとすれば、25÷30=0.83 ということで割安、ということになります。

 

このように、単純にPERだけでは測れない株価の算定をできるのがPEGレシオになります。

 

ですから、PER50倍の会社があっても、1年で50%以上の成長を遂げていれば、その株は割安と判断できますし、
反対に、PER10倍の会社があっても、1年で成長が10%以下であれば、割高と判断できるのです。

 

このPEGレシオの算定基準となるのが利益成長率となりますが、ここにどの利益の数字を当てはめるのが良いのかに明確な決まりはありません
人によっては、営業利益の成長率を使う人もいますし、経常利益、純利益、EPS(1株あたり利益)を使う人もいます。
どれが、正解というわけではありませんが、自分なりに良いと思うものを選んで計算することができます。
それで、僕はEPS(1株あたり利益)をメインで使い、その会社が本業で稼いだ利益である営業利益併用しようと思っています。
EPSで十分という意見もありますが、EPSは単年で生じる特別利益や特別損失の影響を受けますので、そのような特別損益がある場合には営業利益も参考にできるかと思います。

 

ちなみに、企業が成長していない場合、つまり減益の場合にはPEGレシオはマイナスになり指標として使うことはできません

(具体例)システム情報をPEGレシオで分析

では、2019年9月期の本決算が終わったシステム情報(3677)PEGレシオで分析してみたいと思います。

 

成長率を計算するのにどの期間を見るべきか、これについても明確な決まりはありません。
その企業がどのようなものかに合わせて注目する期間を変えることができます。
例えば、このシステム情報のように、長年にわたって堅調に成長を続けているのであれば、過去3年の実績と来期の予想を用いることができるかもしれません。
あるいは、最近急激に業績を伸ばし始めた会社とか、短期目線で見ている場合であれば、今期実績から来期予想の1年間だけを使うこともできるでしょう。
株価は未来を織り込みますので、過去に注目するのではなく、今現在から先の成長が見込める数字の取れる期間を選ぶことが必須になります。

 

四季報の業績欄を見ると、過去数年と今後の予想の数値を得ることができます。
ここでは、いつもお世話になってますSBI証券さんの四季報2019年4集の情報を掲載させていただきます。

では過去3年の実績と来期の予想から成長率を算定するためにその期間のEPS(1株あたり利益)の数字を拾います。

17年9月期EPS 23.3円
18年9月期EPS 29.7円
19年9月期EPS 38.79円
20年9月期EPS予想 42.79円

 19年9月の実績値と20年9月の予想値が表と異なっていますが、これは本決算が決算短信で発表されていますので最新の数字に変えています。
いつも決算短信やIRを見て、最新の情報を仕入れることも大切です。

 

数字が拾えたら、1年あたりの成長率を計算します。
17年の23.3円を起点として、3年間で42.79円になる予想です。
それで、42.79円÷23.3円=1.8364・・・となり、つまりこの3年間で83.64%の成長を遂げた、ということがわかります。
それを3年で割ると、83.64%÷3=27.88となり、つまり1年間の平均成長率は約27.9%ということになります。

 

では、EPSの成長率が算定出来たら、PEGレシオを求めます。
PERには23.66倍(2019年12月11日時点)を用います。

 

PEGレシオ=PER23.66倍÷利益成長率27.9%=0.84

 

こうしてPEGレシオが算定出来ました
システム情報
PEGレシオ0.84ということで、割安と判定することができる、ということになります。

 

ちなみに営業利益を用いて同じ作業を行うと、利益成長率は30.57%となり、PEGレシオは0.77となります。
結果としてやはり割安ということになります。

 

この二つのPEGレシオの数字を総合して考えると、割安なので買ってもいいかも、って結論ですね。
こうして、単純にPERだけを見ると23倍ほどなので割高と考えそうですが、PEGレシオを使えば、割安なので買ってもいいかもという選択肢が生まれました。

さらに企業の特徴も判断材料にする

こうして、いったん結論が出ましたが、もう少し考えてみたいと思います。

 

システム情報は、本決算後の決算短信にて、来期2020年9月期の業績予想を、営業利益は14億8千万円、EPSは42.79円としています。
しかし、これまでのこの会社はいつも業績予想は保守的でかなり低めに見積もって四半期決算で上方修正を繰り返してきています。

 

実際、2019年9月期の営業利益の当初予想は10億5千万円で、実績は13億6300万円で終わっています。
EPSの当初予想は61.68円で、実績は38.79円(株の1:2の分割があったため、前年に合わせれば77.58円)となっています。

 

つまり1年の間に、営業利益は29.8%、EPSは25.7%も上振れて終わったということになります。
システム情報は、こんな感じで保守的に予想して上振れて終わる、ということを繰り返してきているわけです。
となると、今回の決算短信に載せられた来期予想も同じく上振れて終わる確率は非常に高いと僕は思っています。
そう思える理由は株式投資記録 Vol.108 システム情報 2019年9月期 本決算などの、過去記事などで書いているとおりです。

 

実際2014年以降、営業利益と純利益は毎年15~40%ほど期初予想を上振れて終わってます。
で、例えば、営業利益、EPS、ともに20%上振れて2020年9月期が終わると仮定して計算しなおしてみます。
そうすると、PEGレシオは、営業利益ベースで0.54EPSベースで0.59となりかなりの割安感がでてきました。

 

もちろん、僕の予想は仮に20%上振れたら、という仮定の話となります。
しかし、過去の実績からすると、決して夢のような話ではないと思います。
それどころか、20%~20%後半の上振れもあり得ないことはないと思います。

まとめと結論

今回、株の師匠である友人からPEGレシオの活用を勧められ、手始めに自分の保有株の中で一番の成長株のシステム情報を分析してみました。
これまでは、PERを指標として割高、割安を図っていましたが、非常に高いPERでも上がり続ける銘柄のことがあまりよくわかってませんでした。

 

しかし、PEGレシオを学んで、目からウロコがとれたような気がしています。
成長率、成長の度合いを加味して、割安か割高かを図るというのは、非常に理にかなっていますね。
おかげで、システム情報のPER23倍が決して高いものではなく、もっと買い進んでいけるほどかなりお買い得であることに気づけました。

 

もちろん、買ったからといってすぐにPEGレシオが適正な範囲にいくために株価が急騰するということはないでしょう。
しかし、中長期投資を行なっている僕のような人は、こんな割安株を掴んでおくのが成功への道ではないかと思っています。
成長が今のまま続けば、EPSは上昇しますから株価がそのままだったらPERは下がっていき、またPEGレシオも下がっていっそう割安になっていきます。
そうすると、いつか市場はその乖離に気づき、どこかで必ず株価は追いつくものです。
その日を慌てずに、ただ待つことができるかが中長期投資家のスキルの一つだと僕は思っています。

 

これまでの売り買いも、このPEGレシオの観点からすると反省すべき点もたくさん見つかりました。
今後の投資にぜひとも役立てていきたい貴重な情報を得ることができたと思います。
この銘柄を買えば必ずもうかる、という保証は全くできませんが、PEGレシオの使い方で皆様にとって参考になる点があればうれしく思います。