岩壁茂の「共感」の研修に参加してきた

日曜日に「心理臨床家のための動画で学ぶ「共感」オンライン講座」に参加してきた

ブログにも書いたことがあるけれど、わたし実はロジャーズのカウンセリングが好きで、好きでというか、カウンセリングの逐語を見せてくれる人がロジャーズくらいしかいないというか

ロジャーズのカウンセリングの特徴は、クライエントに問わないということだ

ロジャーズは質問をせずに会話を進めるのだけど、これが結構難しい技術で、ひたすら理解を伝えることによってコミュニケーションを取るというのがロジャーズだ

一方で最近「認知療法の問う力」という本を読んだけれど、認知療法は対照的に、問うことで進めていくところが大きい

わたしはロジャーズと認知療法とこの2つが好きなので、トレーニングすれば、問わずに認知療法が出来るようになったりするのかな、とか考えていた

問うという形の言葉は使わずに、同じ探索的な機能を持つ言葉を繰り出すことで会話を進めるということ

普段のコミュニケーションで問う時は問うという形の言葉を使ってるので、やっぱトレーニングなんだろうと思う

ということで今回の研修に申し込んでみたというのが始まり

講師の先生は岩壁茂さんという心理療法のプロセス研究をされてる大変著名な方だ

昔から名前を知ってる

エモーションフォーカスドのレスリーグリーンバーグが師匠だったと思う

実はうちにもエモーションフォーカスドの分厚い6000円もする本が1冊ある


ここから研修の話

研修は心理療法の効果研究から話が始まった。心理療法の効果量の基準が0.8で、認知行動療法が1.2とか言われていた

そしてもっと細かく効果と関わる要因を分析すると、共感(Empathy)の効果だけで0.6もあるとのことだった
一方で心理療法のやり方をどれだけ順守するか(Adherence to specific protocol)は0.04しかない
つまり、心理療法を正しく行うよりも、共感の方が効果があるとの主張をされてた気がする

話題にはならなかったのだけど、この表をよく見ると一番効果が高いのがgoal consensus, collaborationの0.72だった
なのでもっと大事なのは、カウンセリングの目標設定ということだ


その後は共感のプロセスモデルとか説明されてた
先生の研究なのかな?

わたしが思うに、思うにというかどっかで読んだことかもしれないけれど、共感に至るには2つの過程があると思ってる

1つはいかに正確に相手の感情を察知できるか
AEDPとかが「トラッキング」をキャッチコピーにしてるけど、あれはどちらかというとこっちだと思う
話をしている相手の表情やら話し方をみて理解するという感じだ

もう1つは、話をしている時に自分の体験が喚起されて察知するという過程だ
これはまあ精神分析の逆転移とかに近いと思う
相手がその時どんな経験をしたのかを、話を聞いている時に喚起される自分の感覚から、体験的に理解するという感じだ


その次は「共感しながら相手の体験を促進するには」という話だった

岩壁先生がいうには、カウンセリングでは共感的に理解するにとどまらず、気持ちを喚起して相手の体験を促進することが必要だと言われていた

この体験促進的な反応の中でロジャーズが最も得意だったのが「共感的探索」だそうで、それが最初に書いたように、問わずにコミュニケーションを進めるということだと思う


その後は親子関係の悩みと、社交不安症のカウンセリングのデモンストレーションを2本見た

岩壁茂のカウンセリングはどんなものなのか、というのが今回の研修に参加する一番楽しみで、ゲシュタルトの空の椅子の対話とか、典型的な技法が見れてへーという感じだった

わたしはあまりというか全く普段こういう技法は使わないのだけど、話をしていても自分視点から抜けれない人に昔やってもらったことが1度あるな

まあでもそれは動かない岩を動かすためというか、特別それを活用してカウンセリングを進めるということはないなあ

体験的なカウンセリングというのは思考や制御よりも感覚の換気を重要視していて、良くなるという過程もだいぶん違うものなんだろうな、というのが感想かな

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