企業の研究者は変わっているのか?

自分は研究者として働いています。企業の研究所で働いている会社員ではあるので、会社員というアイデンティティを持っていないといけないのかもしれませんが、それは半分以下で残りの割合は研究者としてのアイデンティティかもしれないと思っています。自分を基準にして研究者としてひとまとめにして話すのも非常に乱暴ではあるのですが、それでも研究者は(会社員としては)変なんだと思います。上記の通り、会社員という意識や社会人という意識が非常に薄いんです(自分だけかもしれませんが汗)。

会社にいけばどうせ実験着に着替えるので、夏場は短パンとTシャツ・クロックスで出勤してますし、会社のシニアがジーパンでウロウロしているのを見かけます。髪型などの外見だって(周りに不愉快になる最低のラインまでは)特に気にすることもありませんし、お客様や社外の方と会わなければそれで問題が無いのかもしれません。だから全社の選抜研修やなどに出ると、まずは外見だけでも自分がすごく浮いてるのを感じます (汗)。

加えて評価のされ方も実は曖昧です。研究成果の評価は非常に難しいです。しょうもない研究成果や明らかに間違っている研究などはすぐに分かりますが、本当にイノベーティブな研究を自分が正しく評価出来ているかと言われると自信がありません。そういう真に素晴らしい研究はその性質から理解されないことが多いと思います。時代を先取りしすぎてるとか、今はその時ではないとか、そもそも理解できない、と言われてしまいがちだと思います。もちろん自身の研究成果に対しては説明責任があり、この研究がどう素晴らしいのか、組織や会社にとってどう役に立つのかを説明していくことは必要でしょう。しかしそれでも営業の方のように成果が数字で決まってくるようなものではなく、評価には好き嫌いの要素も入ってくるのは否定出来ないと思います。

ちょっと変な(ネガティブな)ことを書きましたが、最後にもう一つ書くと、自分の周りには『世の中を変えてやる』と本気で思っている研究者がたくさんいることに気が付きます。他の職種の方と話しているとこの確率は異様なくらい高いのではないかと思います。成功確率の非常に低い仕事であることを考えると、『頭おかしいんちゃう?』と言われても仕方がないのかもしれませんが、それでも自分は上手くいくはず、今度は上手くいくはず、と信じて研究をしています。変ですかね?(笑)。

確率的には殆ど失敗なのは皆が頭では理解はしてはいるのかもしれません。ですが実際に実現できているかどうかはともかく、いつかまだ世の中にない新薬を生み出して『世界を変える』と信じているからこそ、いま成果が出なくても頑張れるのだと思います。と、色々と考えてみると、企業の研究者はやっぱり会社員だけど、一般でイメージされる会社員とは随分違うなあ、と思います(会社員失格?)。その違いは良い悪いではなく、とにかく違うんだな、と、思ったことをつれづれなるままに書いてみました。


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