名古屋大などの研究チームは、2022年8月2日、約120億光年離れた銀河周辺の暗黒物質(ダークマター)を検出したと発表しました。これまでのダークマター検出例の中では最も遠い検出となります。この研究成果は「Physical Review Letters」に発表されました。
宇宙にある物質の80%以上を構成するダークマターは、光を透過し、光を吸収も反射もせず、電荷を持たず、重さを持ち、安定して重力とのみ相互作用をすると考えられています。ダークマターの重力により、銀河が形成されていると考えられています。
ダークマター分布は重力レンズ効果を用いて測定することができますが、これまでは背景光源として遠方銀河を用いることが多かったため、遠方銀河そのものの周りのダークマター分布を測定することができませんでした。今回発表された研究では、背景光源として宇宙マイクロ波背景放射を用いることによって、遠方銀河周辺のダークマターを検出しました。さらに、遠方宇宙におけるダークマターの空間分布が、標準宇宙論の予言と比べて、分布のでこぼこが小さく、食い違っている可能性があることもわかりました。
ダークマターの分布が標準宇宙論と異なることを示唆する研究結果が発表されました。今後さらなる検証が進められていくとは思いますが、このように宇宙の正体に迫る研究はワクワクしますね。
https://www.47news.jp/national/science-environment/8151756.html
https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2022/08/120.html
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.129.061301
Wrote: わたなべ