白井です。
出ました!1813年の今日はワーグナーのお誕生日だそうです。
ワーグナーの音楽は好き嫌いがはっきりと別れ、熱狂的なワーグナー好きはワグネリアンと呼ばれています。
こんな言葉が出来るような作曲家はワーグナーくらいではないでしょうか?
ちなみに私は、ワグネリアンと言うほど熱狂的ではありませんが、ワーグナーは好きです。
以前にもこのブログで書いているかと思いますが、2017年の新国立劇場の神々の黄昏では、最後の弦楽器のメロディーが美しすぎて涙が止まりませんでした。
一人で観に行っていて、本当に最後の最後の部分だったので、終演後には絶対に目が潤んでいたのでかなり恥ずかしい思いをしました。
ちなみにこの神々の黄昏には恩師の島村武男先生も出演されていて、外国人キャストに混じって70歳過ぎとは思えない素晴らしい声を聴かせていただきました。
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/gotterdammerung/staff.html
島村先生とワーグナーというワードでは、ちょっとした思い出があります。
学生の頃、島村先生が学校にいらっしゃっている日には暇さえあれば先生のレッスン室に閉じ籠り、レッスンの伴奏をやらせていただいていました。
レッスンの合間の空き時間には、必ず先生が出演されるオペラの練習にお付き合いしていました。
それが楽しみでもありました。
「君、ちょっとこれを弾いてくれ」という感じで先生が楽譜をピアノの譜面台にポンと置き、毎回初見で弾かされていましたので、かなり初見には慣れていたつもりでいました。
そしてある日、先生が二期会のワーグナーの「ラインの黄金」のアルベリッヒ役で出演される際にも、いつもの通り「君、ちょっとこれを弾いてくれ」ということで楽譜をピアノの譜面台にポンと置かれました。
ポンと置かれた楽譜は
「!?!?!?!?!?!?」
な楽譜でした。
モーツァルトもヴェルディもプッチーニも、大抵のオペラでは伴奏するオーケストラは歌の旋律に沿った形になっているものなのですが、ワーグナーの場合には歌の旋律とオーケストラの旋律が全く別物なんです。
しかもかなり複雑…。
さすがに初見では対処できず、でも性格的にいい加減なので、適当にめちゃくちゃに弾いていたら先生から「君、それじゃ僕は歌えないよ」と言われ、結局ワーグナーは初見では無理ということで、楽しみだった先生の練習伴奏も、ワーグナーでは無理だということが判明しました。
でもこれを機に、私はワーグナーに興味を持ちました。
何と言う(良い意味で)おかしな作曲家なんだ…と。
他の作曲家のオペラの場合、伴奏側であるオーケストラは歌い手に寄り添うように歌の旋律も一緒に奏でているものなのですが、ワーグナーの場合「歌い手はしっかりと歌の部分の旋律を理解した上で、こっち側でやっている旋律にうまく乗っかりなさい!」と言うような感じに楽譜上は見えます。
歌に関して素人な私から言わせると、歌手の人たちはよく暗譜して歌えるものだと、今でも不思議に思っているくらいです。
熱狂的なワグネリアンと言われるファンがつくのは、他の作曲家にはないこう言った部分も理由のひとつなのかな?なんて思います。
やっぱりワーグナーも天才なんだなと思います。
いつかバイロイト音楽祭に行って、ニーベルンクの指輪を4日間通して観てみたいものです。
何にしろ、コロナ早く去れ!
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