「命がけでやる」「AやらBやら」「分岐点」英語で?【ロッキー・ホラー・ショー】

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道に迷ったブラッドとジャネット

出典:imdb

今年からカルト映画『ロッキー・ホラー・ショー』のミュージカルシーンを中心に英語の解説をしてきましたが、本日はさりげなく短いけれども英語の勉強ポイントがちょっと高めな会話がありましたので、それをとりあげたいと思います。




英文の引用と和訳:車中でのブラッドとジャネットの会話

本日、引用するのは、ブラッドとジャネットが嵐の夜に車で道に迷ってしまうところの会話シーン。

DVDでは始まって12分30秒くらいのところです。

JANET : Gosh, that’s the third motorcyclist that’s passed us. They sure do take their lives in their hands, what with the weather and all.
BRAD : Yes, Janet. Life’s pretty cheap to that type.
JANET : What’s the matter, Brad, darling?

Headlights on sign reading: “DEAD END.”

BRAD : We must have taken the wrong fork a few miles back.
JANET : Oh. But then where did that motorcyclist come from?

ジャネット「ヤダ、これでもう3台目よ、バイクとすれ違うの。ホント、命捨ててるわねー、こんな天気にって話しだけど」
ブラッド「ああ、ジャネット。ああいう輩にとっては命なんて紙くず同然なのさ」
ジャネット「どうしたの、ブラッド?」

   ヘッドライトに照らされる「行き止まり」の看板。

ブラッド「数マイル手前で間違った道に入っちゃったみたいだな」
ジャネット「あら。でも、じゃあ、あのバイクはどこからきたのかしら?」

They sure do take their lives in their hands

まずはこちらのフレーズ。

They sure do take their lives in their hands.
(彼らは本当に命を捨ててるわね)

この短いセンテンスに英語の勉強ポイントが2つあります。

「sure」副詞としての用法

ここに「sure」の副詞としての用法の理想のサンプルがあります。

sure = [副詞] 確かに、もちろん

「sure」というと「I’m sure(私は確信している)」とか、誰かに何かを聞かれて「Sure!(いいとも!、もちろんです!)」などの使い方がよく知られていますが、こんな風に動詞の手前に持ってきて、「certainly」や「of course」と同じ意味の口語表現としても使えるんですね。

take one’s life in one’s hands

もうひとつの表現はこちら。

take one’s life in one’s hands = (危険を承知で)命がけでやる

ここに「in one’s hands」という部分がありますが、この「in」と「hand」を組み合わせた熟語は英語に多いですね。

in hand = 手に、掌中に、手元の、支配下に、制御して
in the hands of 〜 = 〜の手中に、〜の管理下に
in fate’s hands = 成り行きにまかせて
in good hands = 信頼できる人にまかせて、何も心配することがなくて

などなど、辞書で引くといろいろ見つかります。

この「take one’s life in one’s hands」は、字面でいうと「命を取り出して掌の上でころがす」みたいな感じでしょうか。
なんとなく「危険を承知であえてやる」「命がけでやる」というニュアンスは伝わりますね。

what with the weather and all

こちらは、ちょっと難しそうな口語表現ですね。

What with the weather and all.
(こんな天気にって話しだけど)

ご覧の通り、「what with」の後に単語が並んでいるだけの、シンプルな英語表現ですが、辞書で調べてみると、以下のように複数の英熟語がからんでいる感じがします。

what with 〜 = 〜などの理由で

what with A and B = AやらBやらで、AだったりBだったり

〜 and all = 〜など、〜その他いろいろ

これは何か話題にのぼっている事象の原因や理由や根拠などを単語で挙げる時に使える表現のようです。

「what with」の後に「A and B」という風に2つ単語を並べるのが一般的な使い方みたいですが、後の方の「and B」のところに「and all」という熟語をあてがうことで、「〜やら何やら」「〜とかなんとか」みたいなニュアンスにしています。

いろいろ他の映画のセリフを検索してみたところ、「and all」を伴って使われる方がむしろ多いようです。

ドラマ『FARGO/ファーゴ』S3E4より
BUCK : You’ve been working out, yes? You seem bulked up. Been hitting the weight room?
RAY : I, uh Hitting the buffet, more like. What with the wedding and all.

バック「筋トレしてるのか。ん? ガッシリしてきたな。ジムに通ってるのか?」
レイ「ああ・・・というより、ビュッフェ通いだよ。結婚式やら何やらで

fork

ついでにこちらの表現も解説しておきます。

We must have taken the wrong fork a few miles back.
(数マイル手前で間違った道に入っちゃったみたいだな)

ここに「fork」という単語が「分岐点」という意味で使われてますね。

「fork」は食事の時に使う「フォーク」と同じ単語ですが、こんな使い方もあるのですね。

ちなみに、逆に「分岐点」を辞書で引くと以下の単語が出てきます。

junction
node
bifurcation point
turning-point

「fork」という単語は挙げられていないので、あくまでもカジュアルな口語表現ということでしょう。

あとがき

本日はミュージカル映画『ロッキー・ホラー・ショー』のセリフから、「命がけでやる」「AやらBやら」「分岐点」などの英語表現をご紹介しました。

次回はまたミュージカルに戻って、名曲『There’s a Light(Over at the Frankenstein Place)』の歌詞の英語を解説したいと思います。