【ロングインタビュー】連勝と連敗。エースとの口論の真実。若きガードコンビが2017-18シーズンを振り返る~中篇(6月25日 香川ファイブアローズ)
木村啓太郎、石川智也にシーズンを振り返ってもらうインタビューは中篇へ。
連勝があり、連敗があった。一時は口論で空気が悪くなるようなことも。中では何が起きていたか?
前篇-【ロングインタビュー】悩みと変化。若きガードコンビが2017-18シーズンを振り返る~前篇(6月22日 香川ファイブアローズ)
(聞き手:中条さくら)
(中篇)-どこかダメなところがあったんだけど皆で一つになって戦えるようになった。(石川智也)
―今季初の連勝は第6節の奈良戦。木村選手は後半13点をあげ逆転の原動力となりました。
木村啓太郎:智也が2Qに出て6点決めていたので「やべぇ、負けてらんねぇ」とベンチですごく思っていました。俺も出たら絶対に何かしてやろうと。アタックもどんどんいって、それが上手くいって点が取れました。
石川智也:古巣との初の対戦でした。僕自身、1日目が全然だめだったので、お世話になった奈良ブースターのためにもしっかりプレイしたいなと思っていました。
―二人は同じポジションで年齢も近い。ライバル心は?
木村:ないです(笑)。ないっていうか、僕はガードとしてあまりコントロールできないけど智也はできるので同じことをしてもダメ。僕は攻めるタイプのガードで貫けばいいかなと。だからライバル心がないと言えば嘘になるけど、違う土俵で戦うというか俺は俺でいいのかなと思っています。
石川:啓太郎さんがスタートだったので、そのスタートを奪ってやろうという気持ちで常に練習していました。啓太郎さんと僕は持っているものが全然違う。啓太郎さんはドライブもできるしスピードもあるけど僕は全然だめ。だから、違う形でやってやろうと。
―木村選手は次の名古屋戦でも2桁得点を決めチームを3連勝へと導きました。
木村:僕の昨季のスタッツを見れば全然攻めてない。だから相手は僕が本当はどういうプレーヤーなのか分かっていない。スカウティングもされてないだろうし。マークされていないなか、やりたいようにやれて上手くいった。
―10勝目を決めたのがシーズンから26戦目。ここまでの道のりは?
木村:いやぁ、長かったです。智也は衛藤さん(HC)と1年間やっているので何でも対応できていたんですが僕にとっては難しかった。正直言って僕は衛藤さんのようなHCのもとでプレイしたことがない。衛藤さんは考えてするバスケ。僕らにもその考えをしっかり教えてくれるし、今後こうしなければプロとしてやっていけないよって言ってくれる。最初は衛藤さんが何を言っているのか本当に全然分からなかった。
石川:僕はアウェイに連れて行ってもらえなくて相当悔しかった。だから自主練習などをしっかりしていました。
―衛藤HCに怒られて泣いた・・・という話を木村選手はツイートしていました。
木村:僕、怒られて何回も泣いているんです。別にその日だけ泣いたわけじゃない(笑)。悔し涙かな、「ダメだなぁ、俺」って。
―くじけそうになったことは?
木村:毎日くじけそうでした。結局、その気持ちを立て直せてなかったのかも。立て直せていたら、もっといいプレイができたと思う。例えば衛藤さんが「おまえ、入らないからもうシュートを打つな!」って言えば僕や他の選手も真面目なので本当にシュートを打たない。でも、それじゃ自分も輝けないし、チームも勝てない。衛藤さんの言葉の本当の意味を理解しないといけなかった。
―積極的なプレイが持ち味ですが時に消極的なプレイになったことも。
木村:コートに入る時は「やってやろう!」と思っているんですが、どっかで「ミスしたらどうしよう・・・」っていう気持ちもあってプレイが後手になってしまった。
―1月は全勝し、チームとして9年ぶりの5連勝。好調の理由は?
木村:みんな迷っていなかった。僕もいかなきゃいけないところでドライブにいっているし、打つ人も打たなきゃいけないところでシュートしていた。メンタルの良い状態で当たり前のことを当たり前にやって勝利につながった。
石川:香川の武器であるディフェンスという部分でチーム全員頑張れていた。今まで、どこかダメなところがあったんだけど皆で一つになって戦えるようになった。
―が、その後8連敗。
木村:その時、僕は消極的になっていました。自分が消極的になっているのにも気づかず、どうしていいか分からない状況だった。チームとしてはディフェンスが崩壊していた。
石川:8連敗したなかでも勝てる試合はあった。負けている時ってフリースローが入っていない。フリースローが原因の一つでもあると思った。
―FT成功率はB2ワースト2位。何が原因?
木村:個人のメンタルじゃないのかなぁ。
石川:そうですね。
―8連敗中、衛藤HCが「ガード陣のゲームを作る力を問われている」と述べていました。
木村:そんなん言われても困るよね(笑)
石川:困る(笑)
木村:それは僕たちも分かっていた。ただ、どこのガードよりも劣っているからこうしなきゃって思った時点で気持ちも負けているからダメ。だから僕は自分がコントロールできないっていうのもあったので、コントロールじゃなく、ディフェンスもオフェンスもガンガンにアタックしていかなきゃと。けど、「ガードがダメ」って言われて自分もおかしくなってきたんですよ。アタックしたいけど、これもあれもしなきゃとかいろんな思いがでてきてプレイを躊躇してしまうようになった。
―木村選手は試合中、ウォーレン選手と言い合うシーンもよく見られました。
木村:理由はいろいろあるけど・・・。レジーは「俺にボールをよこせよ」ってなっちゃう。それで入れば勝つけど、はずせば負けてしまう。それに出せない時もあるじゃないですか?
石川:ありますね。
木村:ピックしてもレジーはダイブしたい。外で打ちたいからストップしてしまう。それを外したら逆速攻。でも「なんで俺にださない?!」ってなって僕は「うるせえよ」と。
石川:僕は、どっちかっていうとレジーよりクウソーの方がしっくりきていたので練習からレジーと同じになることがあまりなかった。だから言われることも少なかったです。ディフェンスを見ながら判断しているので出せない時は出せないよってしっかり伝えていました。
―レジーに言い返せる・意見できるのは一種の強味では?
石川:うん、そう思います(笑)。
木村:いや~、向こうはどうだか知らないですけど僕はレジーのこと好きですよ(笑)。