田舎は資本主義の最先端!?「貰い物」で成り立つ経済

Itoshima - vegetable

こんにちは!

要注目の観光地・福岡県糸島市で、
ゲストハウス「前原宿(まえばるしゅく)ことのは」を運営する、のぎー&かなです。
本日もブログ訪問ありがとうございます!

私たちは94歳になるおばあちゃんと99歳になるおじいちゃんと同居していますが、おばあちゃんは貰い物上手!
元気そのもので、お友達のお家に遊びに行っては、何か貰ってきます。

山ほどの畑の幸

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歩くだけで「もの」が増えて行く不思議なおばあちゃんですが、貰ってくるだけでなく、誰かが届けに来ることもあります。
写真は、近所の人からの貰い物〜

大根、人参、白菜〜。

たまに外出から帰ってくると、玄関先に袋に入って野菜とかお菓子が置いてあることもあって、「多分、ダレダレさんが持ってきたんやろや〜」って具合です。
もちろん、お返しもしますが、下手したら食材をスーパーで買う必要ないんじゃないかってぐらいです。

うちのお母さんも時々貰い物してきますが、おばあちゃんの方がものすごく貰ってきます。
貰い物が多すぎて、消費できない場合は、また別のお友達のところにプレゼントに行って、ずーっと茶飲話して楽しんできたり。。。笑。

昔からある文化ですが、東京にずっと住んでいた私たちからするとものすごく新鮮に映ります

東京のような大都会では、基本、近所の人に何かを貰うって、ものすごい稀な話ですから。

贈与経済とは

うちの例に限らず、田舎ではこの手の「貰い物」文化が結構見られます。
面白いのは、もののやりとりが発生しているのに、「金」を一銭も使っていない点ですね。

思想家の内田樹(うちだたつる)さんは、最近、この手の貰い物による経済を「贈与経済」と表現しています。

要するに、「自分のところに来たものは退蔵しないで、次に『パス』する」経済のことです。

内田さんは、多くの日本人にとっては、「モノ」が行き渡って、「お金」で買いたいものがほとんどない状態だと言います。

ひとわたり欲しい物が手に入ったら、購買力は落ち、経済成長は鈍化する。
欲望が身体を基準にしている限り、欲しいものには限界があるからである。
一日に三食以上食べることはむずかしい(してもいいが身体を壊す)。洋服だって一度に一着しか着られない。テレビだって一度に一台しか見られない。家を何十軒も買っても住めるのはそのうち一軒だけである。自家用ジェット機を10機所有していても、いちどきには一機にしか乗れない。経済成長の終わりと贈与経済の始まりについて (内田樹の研究室)より

 

確かに!!
これ以上買っても無駄!ってラインはありますよね。
スマホが便利だからって、3つも4つも同時には使いようがないわけですから、どんなに欲望を掻き立てても、1個買えば満足しますよね〜。

そういう意味では、資本主義は限界に来ていて、現状は「金を金で買う」しかない状態がずっと続いていると言います。

貨幣で株を買い、国債を買い、不動産を買い、年金を買い、保険を買い、貴金属を買う。(中略)ただのバクチである。
どこかで誰かが貨幣を失い、その分を誰かが儲けている。
それだけのことである。
胴元が寺銭を稼いでいるが、「胴元」(銀行や保険会社やファンドや格付け会社)はもう何も生産していない。経済成長の終わりと贈与経済の始まりについて (内田樹の研究室)より

冷静に指摘されると、「そうかも!?」って思ってしまいますね。

これからの新しい経済を考えるには、昔ながらの「贈与」のあり方を取り入れる必要があると言います。

確かに、お金をいっぱい持っていても、実は「使い道」を失っている状態なのですから、「お金」を介さずに成り立つ仕組みって、実はシンプルで無駄がなくて、理想的であります。

実際、お金を発行するにも「お金」が必要なわけで、それは知らず知らず、税金として取られているわけですから、無駄な負担だって減らせます。

ただ、「贈与経済」って未だ新しい概念であって、内田さんも具体的にこうすればいい!と言える段階にはなさそうです。資本主義経済の改良版なのか、それともそれに代わる全く新しい経済体系となるのか、全く未知の存在です。
発展させるには、具体的にどんなものが良いか、みんなで考える必要があります。

日本の田舎が「新しい経済」の最前線になる!?

やりたいことがあると、やはりお金は必要なので、私なんか、「お金余ってたら、ぜひ『贈与』してほしい〜〜」なんて思ってしまいますけどね。笑。

アメリカの場合は、マイクロソフトのビル・ゲイツにしろ、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグにしろ、多額の財産を慈善活動に回しています。これも一種の「贈与」かもしれません。アメリカの場合は、税制で優遇して、その「贈与」を後押しする仕組みを備えています。

アメリカやヨーロッパに参考にする事例はあるでしょう。しかし、なんといっても、「日本の田舎」こそ注目すべきです!

日本の田舎の「貰い物」文化はまだまだ根強く残っています。もしかしたら昔の時代遅れの風習と思っている人もいるかもしれません。
しかし、一番最後を走っていると思っていたら、いつの間にかルールが変わって、先頭を走っている、そんな事態が起きないとも限りません。

田舎が新しい経済活動の最前線となる日も近かったりして。
私も田舎に戻ってきたので、ぜひその「貰い物」文化には注目していきたいと思います。

**糸島コンシェルジュがいる宿**
福岡・糸島ゲストハウス
前原宿(まえばるしゅく)ことのは
(Itoshima Guesthouse Kotonoha)