その5.もっとも大切なのは

「泥船会社盛衰記」連載!

再開する前にこんなものを。

登場人物の似顔絵と仮名を考えてみた、というものです。写真とか残ってないので雰囲気です。雰囲気だけ。というか、一度書いてしまった以上今後の登場人物も書かなくてはいけないじゃないか。失敗した・・・とりあえず続きをどうぞ。


 
ようやくデスクワークの方に戻る機会ができる。ホームページ制作以外に、チラシやポスターを作る動きもあり、取り組む仕事が出てきたのだ。

こうした仕事のためにはなんらかのソフトが必要だが、社内にはどうにも怪しいCD-ROMしかなかったため、私的に購入したFireworksとDreamweaverを持ち込んだ。当時はmacromedia製のソフト。Adobeに比べればだいぶ安かった。

そして社長に頼まれてチラシやポスターに使う写真から人物を消して無人にする、みたいな画像処理などを行うことに。マウス操作だけであの騒ぎな人なのでそれはもう大いに盛り上がって頂いたものだ。どれほど盛り上がったかといえば、ほんの数日後に私のもとにPower Mac G4が届いたほど。しかも上から数えて二番目くらいの高機能のモノだ。社長にはデザインと言えばMac!という知識があったらしく、これでいい仕事をしてくれ!ということだった。

ありがたい話なのだが、案の定というか、ソフトはなにも無い。社長にはMacは特別な存在で、ソフトが必要という知識が無かったのだ。このままでは高級な置物。私はここぞとばかりに当時大流行中のFlashを購入してもらえるようお願いした。Flashムービー制作なんてやったことはなかったが、売りになると考えたのだ。社長は苦虫を嚙みつぶしたような顔をしていたが了承してくれた。結果的にはこれが現在自己批判ショーでのムービー作りに繋がっている。


 
こんな感じで作業環境が充実するなか、ホームページ制作の業務についてレクチャーしてくれる人が来てくれることとなった。他県のグループ会社に勤務する折鶴さん(仮名)という方でホームページ制作の仕事を持ち込んだ人だ。彼のもとでは数名のデザイナーがいてすでに実績をあげていた。内容もホームページビルダーのテンプレート、ということもない。

(なぜ、こういう人材が本社にいないんだ・・・)

ようやくまともに話ができる人と会える、と期待に胸が膨らみ、当日。

「大切なのはシズル感なんだよ」

折鶴さんは当時の私が知らない単語について語りだす。シズル感。いや。俺が聞きたいのはそんなことではないはずだ。クライアントとどのように仕事をすすめていくのか・・・あ、はい、シズル感。シズル感。2017年の私が忘れているだけでもっと他の話もしたはずなんだろうけど、これしか思い出せない。遠路はるばるやってきてシズル感。ドメイン取得のこととか、レンタルサーバーのこととか知りたいんだけどシズル感。やっとまともな人と会えると思ったらこれだよシズル感。なぜこんなにもシズル感を押し出してきたのか。いや、大切なことではあるんだけども。結局、折鶴さん改めシヅルさんと会ったのはこれが最初で最後。何者なのか、わからずじまいとなってしまった。

<シズル感>

「ダブルオーゼロ」よりスタッフとして参加。スタッフ兼エキストラとして活動していたが、2012年より役者にチャレンジ。

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