NPO未来化プロジェクト・10周年シンポジウムでの質疑応答 ❹

 中小企業支援家として日本中を駆けずり回っている小出宗昭氏、三ヶ日の地域活性化をあらゆる角度から仕掛け、実績を積み上げてきた中村健二氏、NPO未来化プロジェクト代表理事の佐藤和枝、三人三様の回答は必見です!

Q4:自分自身はここで語るのも恥ずかしいですが、様々な苦労、困難を経て、今ここにいます。周囲からしたら若者で、20年前くらいだと生まれたばっかで、今の整った社会で過ごしていますが、その時代背景の元がゆえの困難もありました。私は若者というくくりになりますが、努力することを大人たちに褒めてもらえることがありますが、同級生達はあまり関心がないことが事実です。私は将来、地元に寄り添って生きていく誰かの役に立つ人材になりたいと思っています。私の故郷は小さな町で、そこで活躍することも考えていますが、先生達が思う中山間地域の課題、町が持つ課題は、どんなことがあるか具体的に知りたいです。SDGsにも絡めて話していただけると幸いです。(20代女性)

 回答(中村健二氏):地域課題は、中山間地に限らず、人が住んで暮らしている限る問題はあると思いますね。しかし、おそらくは、パターン化・分類化はできると思います。我々の病気と同じで、原因と結果の関係式は明らかになると思います。問題となるのが、その処方箋です。地域の状況が様々なので、おおよその処方が出来たとしても、解決に導けるかどうかはまた別だと思います。

拙い私の経験則では、一番の地域課題の問題は、「今起きていること・これから起きようとしていること」を地域住民が認識していない(「何となく判っているが」のレベル)ことでしょうか。原因から結果への過程の関連性が出来ていないということです。中には、課題そのものが分かっていない場合もあります。しかし私が思うに、外部から来た者が、「これは課題ですね」というのも変ですね。地域課題を解決するのは、地域住民であって、内閣府地域活性伝道師の私ではありません。

以前、知人の別の地域活性化伝道師と話したことがありました。「中村さん、人口減少はそんなに悪いことですかね?アルプスの少女ハイジのような村に人口増加や産業育成や貨幣経済の活性は必要ですかね?繁栄ってそんなに大事ですかね?」と。コンビニのない山村は、どうでしょう。小学校がなくなってしまった中山間地は?主たる産業が林業だけしかないところは?ドクターヘリの着陸できない村は?そうそう、ネット環境がまだ光が使えない山奥は?平成の大合併に乗り遅れて、人口が1千人強の村に地域活性は必要ですか?

もうひとつ、私は、へそ曲がりな性格なのであえて言います。誰かの役に立つ人材になることはお節介だと思われる可能性はありませんか。地元に寄り添って生きることが、うっとうしいと思われることはないでしょうか。わが子を愛していない母親はいないという前提で考えてみましょう。母親は、娘の人生ために役に立つ存在でいようと考えているでしょうか。我が子を育てるときにこんなことを毎日考えている母親を私は知らないです。年頃になった娘は、母親の一言二言をうっとうしいと思うことはないでしょうか。母親はわかっていました、昔は自分も母にそう言っていた頃があったと。

回答(小出宗昭氏):課題を探すときりがありません。他の地域にはない光る部分を、オリジナリティの高い部分を見つけてそれを活かすほうが活性化の糸口になると思います。

回答(佐藤和枝):(1)  中山間地域の課題  大きな問題は人口の減少です。ニュースでも話題になりましたが、50年後の日本の人口は8700万人まで減少すると言われています。今以上に中山間地域の人口減少は加速します。人口減少する中山間地域の課題は ①1次産業の共同作業が困難になる ②伝統文化の伝承が困難になる。この2つが主に挙げられます。産業の見直しが必要と考えます。中山間地域が持続していくには、地域資産であるコト、モノ、ヒトを如何につなぎ合わせることができるかが大きなヒントになります。今までと違う切り口の考え方(創造力・アイデア)が必要です。

(2)   町が持つ課題  若い女性が都会に出ていくことです。浜松の産業は男性中心のモノづくりで成長してきたので、女性は求める職種が限られています。大学を卒業した若い情勢は「私のやりたいことが浜松にはない」と、都会へ出ていきます。例えばマスコミ、出版、商品開発、IT企業などサービス産業が少ないのが理由の1つです。しかし、浜松の産業(第分類)男女別就業者数によると、サービス産業を含む第3次産業の女性の就業率は73,6%です。フェムテック(女性のライフステージにおける様々な課題を解決する商品やサービス)は、今後5兆円産業に成長すると言われています。新しい産業が若い女性の県外流出を止めるきっかけになることを期待します。