今月3月27日(日本時間3月28日)に第94回アカデミー賞授賞式がロサンゼルスのドルビーシアターで行われる。作品紹介と共に見どころ満載のアカデミー賞の魅力を総まとめ。

後編はアカデミー賞主演男優賞部門、長編アニメーション部門にノミネートされている2作品を紹介。自宅でノミネート作品を満喫するのはいかが?

『tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!』

“ミュージカル界が誇る天才”リン=マヌエル・ミランダ初監督の極上ミュージカル『tick,tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!』では、アンドリュー・ガーフィールドが主演男優賞など2部門(主演男優賞、編集賞)を、ノミネート。主人公ジョナサン・ラーソンは、数々の賞に輝き、今なお世界中で愛され続ける名作ミュージカル『RENT/レント』を生み出した実在の作曲家。本作は彼が夢追う姿を描いた自伝ミュージカルとなっている。

ラーソンがガーフィールドに乗り移ったかのような、今までのイメージをまた一変させる”夢”を追いかける自由な歌やダンス。ガーフィールドの魅力がたっぷり詰まった作品となっている。

舞台は、1990年のニューヨーク―。食堂のウェイターとして働きながら、ミュージカル作曲家としての成功を夢見るジョナサンはまもなく30歳を迎える。これまで共に夢を追いかけた仲間たちさえも、現実に目を向け変わっていく姿に焦りを覚えるジョナサン。自身に問いかけながらも、“チック、チック”と時間だけが過ぎていく毎日…。苦悩と葛藤の先に「最高のロック・ミュージカルを作る」という夢を掴むことが出来るのか―。

『ミッチェル家とマシンの反乱』


第91回アカデミー賞長編アニメーション部門を受賞した『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)の製作に関わった、フィル・ロードとクリス・ミラ ー、そしてカート・アルブレクトがプロデューサーを務めている。声優陣にはアカデミー賞主演女優賞受賞しているオリヴィア・コールマンなどが名を連ねている。

制作であるソニー・ピクチャーズ・アニメーションのクレジットにイラストが加えられ、始まる物語にその可愛さとセンスで本作への期待が高まっていく。本作の見どころのひとつは個性豊かなキャラクターたち!動画作りが得意な主人公のケイティをはじめ、恐竜オタクだが女の子と話すのは苦手なアーロン、家族をまとめあげるが隣家族のSNSが気になってしまうママのリンダ、ちょっと変わってる愛犬モンチ、そして自然と家族が大好きすぎてしまうパパのリック。どこか自分とも共通点があるようなファミリーが集っている!

コミカルなやりとりのなかに現代人のテクノロジーへの執着をわかりやすく伝え、目の前にいる人の大切さを伝える作品でもある。2Dのイラストや文字、実写の映像などがアニメーションに挿入されている新しい形のアニメーション。大人は人と違ってもいいと気付き励まされ、子供はただ純粋に楽しめる作品となっている。

変わり者揃いの家族が突如、一家団結してロボットの侵略から世界を救うという前代未聞の究極の任務を負うことに!すべての始まりは、夢の映画学校に合格したケイティの新たな門出。自然が大好きなパパの発案により家族総出で見送るついでに、一家の絆を深めるためのロードトリップをすることに。気乗りしない上に雰囲気も気まずく、旅は最悪の滑り出しとなるが、突然ロボットの反乱が起きて巻き込まれてしまう。人類の希望を託されたミッチェル一家のゆくえは?!

第94回アカデミー賞 Netflix作品ノミネート一覧

・『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(原題:『The Power of the Dog』):11部門12ノミネート
作品賞、監督賞(ジェーン・カンピオン)、主演男優賞(ベネディクト・カンバーバッチ)、助演男優賞(ジェシー・プレモンス)、助演男優賞(コディ・スミット=マクフィー)、助演女優賞(キルステン・ダンスト)、脚色賞、撮影賞、編集賞、美術賞、録音賞、作曲賞
・『ドント・ルック・アップ』(原題:『『Don't Look Up』):4部門4ノミネート
作品賞、脚本賞、編集賞、作曲賞
・『tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!』(原題:『tick, tick... BOOM!』):2部門2ノミネート
主演男優賞(アンドリュー・ガーフィールド)、編集賞
・『ロスト・ドーター』(原題:『The Lost Daughter』):3部門3ノミネート
主演女優賞(オリヴィア・コールマン)、助演女優賞(ジェシー・バックリー)、脚色賞
・『The Hand of God』(原題:『The Hand of God』):1部門1ノミネート
国際長編映画賞
・『ミッチェル家とマシンの反乱』(原題:『The Mitchells vs. the Machines』):1部門1ノミネート
長編アニメーション映画賞
・『ことりのロビン』(原題:『Robin Robin』):1部門1ノミネート
短編アニメーション映画賞
・『オーディブル: 鼓動を響かせて』(原題:『Audible』):1部門1ノミネート
短編ドキュメンタリー映画賞
・『私の帰る場所』(原題:『Lead Me Home』):1部門1ノミネート
短編ドキュメンタリー映画賞
・『ベナジルに捧げる3つの歌』(原題:『Three Songs for Benazir』):1部門1ノミネート
短編ドキュメンタリー映画賞

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【文/片岡由布子】