『野菜の機能性成分「スルフォラファン」そのメカニズムと最新研究』

11月20日、『野菜の機能性成分「スルフォラファン」そのメカニズムと最新研究』と題するメディアセミナーが開催されました。

「スルフォラファン」・・・まだまだ聞き慣れない名前ですが、いったいどんなものかといいますと、“ファイトケミカル”の1種で、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜に含まれる機能性成分です。
※ファイトケミカルは、植物に含まれる天然の化学成分の総称。炭水化物やたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維に続く“第7の栄養素”と呼ばれています。

その「スルフォラファン」が最初に注目をあびたのは1990年代。がん予防の世界的権威で知られるジョンズ・ホプキンス大学のポール・タラレー博士によって、「スルフォラファン」に腫瘍の形成を抑制する効果があることが発見されたからです。その後、さまざまな分野で研究されてきましたが、野菜の中では、とりわけアブラナ科の野菜に多く含まれることがわかりました。

「スルフォラファン」の摂取により体内の抗酸化力や解毒力が高まり、これによってがんや動脈硬化のもととなる活性酸素を抑制することができるといいます。また、その抗酸化作用は、細胞分裂の活発化と新陳代謝の活発化にもつながるため、生活習慣病を予防し、アンチエイジングにも役立つそうです。さらに、「スルフォラファン」の高い解毒力により、体内の解毒酵素を活発化させ、肝機能や免疫力の向上につながることもわかりました。そして解毒作用でデトックス効果が得られるようになると、冷えや肩こりの解消、美肌とダイエット効果も期待できます。最近では、ピロリ菌の除菌、胃がんや大腸がん、皮膚がんの予防、うつ病や自閉症の治療にも効果を発揮することがわかってきました。

セミナーでは、米ジョンズ・ホプキンズ大学、久留米大学、筑波大学の各専門家から「スルフォラファン」の最新研究結果が紹介されました。

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このうち、久留米大学・山岸教授の「スルフォラファンとAGEについての臨床研究結果」をざっとご紹介しましょう。AGEは終末糖化産物ともいい、たんぱく質と糖が加熱されてできた物質のこと。AGEが体内に溜まると、老化が進み、さらにはさまざまな病気にもかかりやすくなります。臨床実験では、健常の成人男女に「スルフォラファン」を多く含むブロッコリースプラウトを毎日25g食べ続けてもらい、試験開始時と2カ月後にそれぞれ測定を行い、比較しました。その結果、血中AGEレベルは平均2割も下がりました。また、腹囲はおよそ2.5cm減少。総コレステロール、HDLコレステロール、尿素窒素も低下しました。つまり「スルフォラファン」を毎日食べ続けることで、AGEの増加を抑え、アンチエイジングや生活習慣病の予防にも役立つことが証明されたのです。

このように、「スルフォラファン」は大変優れた機能をもつ野菜ということがわかりましたが、弱点もあります。それは、熱に弱いことです。このため、スプラウトは生で食べることが必要なのと、食べるときは刻んだり、よく噛むことで吸収をより高めることもわかっています。

 

セミナーの最後に、管理栄養士・牧野直子さん考案、東京ステーションホテルの石原総料理長のアレンジ・調理による「スルフォラファン」を効果的に採れるスプラウト料理5品のランチプレートを試食しました。

<メニュー>

・スプラウト、トマト、オレンジ、ヨーグルトのスムージー

・スプラウトとアボカドの湯葉和え

・スプラウトとサーモンのロール パプリカとともに

・黒毛和牛蒸し スプラウト添え

・スプラウトとモッツァレラ、押し麦のサラダ レッドキャベツにのせて

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※村上農園が1999年に国内初の機能性野菜として生産・販売した『ブロッコリースプラウト』には成熟ブロッコリーの約7倍の「スルフォラファン」が含まれ、さらに、2001年に生産を開始した、発芽3日めの新芽「ブロッコリースーパースプラウト」には、成熟ブロッコリーの約20倍という高濃度の「スルフォラファン」が含まれます。

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