爆発寸前

辰巳ヨシヒロ追悼シリーズ3 爆発寸前


こんばんわ ハクダイです。

今回は、爆発寸前(副題マンモスタンク) 新書判BCベストコミック/ヒロ書房/1964年(昭和39年) 刊行 を紹介します。

爆発寸前

●収録作品

(1)マンモスタンクとして二話分 第一話「ぶっこわし作戦」70p、第二話「爆発寸前」50p

(2)人間蒸発/39p

マンモスタンクは年譜の1964年にある、単行本「ぶっこわし作戦」A5判貸本(第一プロ)、に収録されたモノをそのまま、新書判へ転用したモノと思われますが、オリジナルのA5判に当たれていませんので違っているかもしれません。ページ数はそれぞれ、年譜記載のA5判と同じく70ページ、と50ページなのですが、電車内の吊り広告に「ヒロ書房」のコミック 3月10日」とあったりする事より、若干の修正ないしは大幅な描き直し、があった可能性があります。これは、「第一プロ」を「ヒロ書房」と改名し株式会社化したのが年譜によると1967年(昭和42年)の事からの推測になりますが。

”おれは日本のシャーロックホームズを夢見て探偵屋になったのだが”とうそぶく私立探偵「マンモス・タンク」の活躍を描くミステリーアクションといったところで、彼の事務所には「マンモス・タンク 探偵事務所」とあります。

マンモス・タンクの通称だけで、実際の日本人名は一切出てこず、ワイルドにアゴヒゲを生やしたハンティング帽をかぶった巨漢(身長は推測ですが180cmくらい?)というキャラクターです。

貸本時代の「辰巳アクション」の代表格は「弾丸太郎」になるでしょうが、良くも悪くも「弾丸太郎」が持つ少年ヒーローアクション的な特性は、このマンモス・タンクからは全く感じられません。弾丸太郎は、確認できた分だけでも最低10冊(A5判単行本)が描かれたので、それなりに人気キャラであったかと思われますが、マンモス・タンクは、単行本1冊分として2話分のみが描かれただけのようです。

爆発寸前 (1)爆発寸前

●あらすじ

*マンモスタンク第一話 ぶっこわし作戦 

 地下鉄サブによる車内でのスリの現場に居合わせたマンモス・タンクは、被害者の男より、すられた財布を10万円の謝礼を出すから取返して欲しいという依頼を受ける。財布の中味に秘密があると睨んだマンモスは、依頼者の印刷業者・村奥の身辺を洗い、大規模な偽札作りの計画が存在することを突き止める。はたして、偽札作りの黒幕は・・・・・?

*マンモス・タンク第二話 爆発寸前

 風船売りの男が売り歩く風船の束に、こどもがイタズラし風船を空へ飛ばしてしまうという迷惑な事件が、立て続けに起きる。こどもによる悪質なイタズラかと思われたが、風船の爆発のショックで心臓麻痺を起こして人が死ぬという痛ましい事故が発生してしまう。風船には爆発の原因となる水素ガスが使用されていた。事故死で片付けられてしまったが、事故ではなく、明らかな殺人であると看破したマンモス・タンクを、恐るべき殺し屋が付け狙う。マンモスと殺し屋の対決がスリリングです。風船を使った殺人トリックが面白いです(まあ、現在からすれば、幼稚なトリックで、科学的に通用しないトリックかと思われますが)。

 

*人間蒸発

これは、貸本時代初期(昭和32~34年頃 1957~1959年頃)に描かれた作品のリメイクと推測しますが、オリジナルの特定には至っていません。リメイク後、A5判貸本で一度刊行された後の新書判化(転用)というケースも考えられます。

殺人犯たちによる死体隠しのトリックがポイントになる作品ですが、昭和44年(1969年)という時期を考えれば、いかにも古臭い感じは否めません。オリジナル版を早く特定したいですね(こちらは、結構、読み応えあるハズと確信めいたモノがあります)。