黒鉄一輝は武士の極み
気配を察知し、必要最小限の力で相手の攻撃を避ける。というのは色々なバトル、剣客に限らず、強キャラクターの用いる持論ですね。
もちろんそれは最強格のキャラにも通じる面があり、どの漫画かは忘れましたが、レベルの差が仙人クラスと駆け出し剣客くらいにもなれば、仙人があくびをしながら、せんべいを食べながら、生活の動作一つ一つをこなしながら駆け出し剣客の斬撃をかわすというようなシーンも多々あります。
▲ 仙人クラスである今季のワンパンマンは「努力」のシーンが抜け落ち、ギャグ化してるけど、やる気を出せばやはり一切の攻撃が当たらない
回避能力、しいては肉体能力がどれほど戦いにおいて重要かはどのバトル漫画を見ても明らか。現実でも忍者という筆頭の戦士たちがいましたが、去年までの落第騎士の英雄譚、特に破軍学園では、その身体能力には一切の評価を見出していなかったということになります。また、回避をするためには相手の気配も察知する必要があり、そのうえその動作に入る前の相手の癖や音などを見分け、聞き分ける分析能力も必要。(言うだけなら簡単ですが…w)
デジタルとアナログの時代にアナログを極めるしかなかった男
パソコンで文章を打ち、絵を描く時代で、それぞれ教えるときにまずパソコンとソフトの使い方から入るのは当然なこと。ですが前者はネットでコミュニケーションを取るようになるので顔文字を使うようになったり、ブログの文章のようなくだけた話し言葉になりがちで、後者はグラデーションや画像加工などのツールを使うことにばかり目がいき、デッサン力やデザイン力が皆無、などはよくある事例です。
典型的なことを言うなら、両者ともに想像力がありません。文字を打つ前に、絵を描く前に、考えるという基礎的な考え方が彼らには養われていないからです。なぜ欠如するのかと言えば、パソコンではback spaceを押せば文字は消せますし、絵も、いくらでも描きなおせるからです。これも典型ですが、想像力を鍛えるためには、デッサンをして対象の分析とともに全体像を想像する思考形態を見につける。文章力なら、手書きで日記を綴るといった具合。
▲ 毎日20キロは世界級選手には及ばないもののマラソン選手並みの距離
黒鉄一輝は、言ってみれば、デッサンをしまくったり、毎日5万字くらい書いているようなもの。もちろん、ただ努力するだけでなく(ここが彼の一番の才能かもしれません)、写真の綺麗な撮り方や(つまりデッサン物の見た目がそもそも優れる)、文字のレイアウトデザインなどの技、アナログな自分にできるデジタルに対抗するための最低限の魅せ方をも学んでいます。
そこには黒鉄家を見返すという確かな執念があります。ですが、その穏やかな性格のため、私怨には捉われることはなく、模倣して、かつ上位互換という「模倣剣技(ブレイドスティール)」ができるくらい、勝つための冷静な分析もできていたことが彼の強さなのでしょうね。
それこそ一刀修羅のように、名前の一瞬の輝きのような。そういう意味では珍しくはないですが、冷静な主人公と考えるとなかなか多くはない部類の主人公なのかもしれませんね。
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落第騎士の英雄譚
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