ゼロ成長、ゼロ金利、ゼロインフレを定常状態に

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“資本主義の終焉と歴史の危機”という本を読んだ。とてもショッキングな示唆を受けました。

1974年に資本の利潤率の低下が始まり、
資本主義の大転換が始まったそうです。えっ!1974年はモリパパが入社した年です。この時代がどんな時代だったのか、会社生活と重ねて、資本主義の時代を俯瞰させられました。

永続的資本主義(株式会社)には逃れられない宿命を持っている。それは止めどない自己増殖であり、“周辺”への拡大です。
ITによる金融の自由化と拡大によって、資本主義は自らを追い込んできました。

ちょうど阪神大震災があった1995年、金融界では資本が自由に国境を超え、利潤の極大化を求めて一挙にグローバル化しました。

バブルは日本だけでなくなりました。ITバブル、住宅バブル、そしてリーマン・ショック(2008.9.15)へと、バブルの生成と崩壊が多発し、繰り返される時代に入っていたのです。バーナンキの言う「犬の尻尾(金融経済)が頭(実物経済)を振り回す」時代です。

バブルが崩壊した後は、富は僅か1%の人に集中し、中間層は貧困層へと転落。雇用なき経済成長を余儀なくされて来た訳です。

資本主義が終焉に近づいている今、成長神話にしがみついてはならない。資本主義をソフトランディングさせて新たなシステムに変革しないと、民主主義さえも脅かされます。

現在、成長戦略にに固執するアベノミクスでは、デフレ脱却が果たせないばかりか、経済・社会構造の資本主義システムの変革を遅らせるだけです。これからはインフレ目標や成長戦略に猛進する成長教に頼ってはいけないのです。
ゼロ成長、ゼロ金利、ゼロインフレという定常状態を持続させるシステムを築くしかないのです。

特に、逆累進性の強い消費税に頼ってはいけないし、金融緩和でお金をジャブジャブに流し込んでも、根本的な解決にはなりません。

法人税率を下げるのではなく、世界の主要各国(G20)で協調して法人税引き下げの競争に歯止めをかけるべきです。国際的な金融取引にも協調して歯止めをかけるべきです。そうしないと暴走している資本主義にブレーキをかけることはできません。

バブル崩壊、ゼロ成長、デフレを世界のどこよりも早く経験した日本だからこそ、資本主義の暴走を食い止め、ポスト資本主義への新たなシステムを作って行かなくてはいけません。今のアベノミクスは逆行しています。

  • より速く → よりゆっくりと
  • より遠くへ → より近くで
  • より合理的に → より曖昧に

近代資本主義を駆動させてきた理念もまた逆回転しなければ、
新しいポスト資本主義システムは生まれないのかも知れません。