【デザイン思考】障がい者のためのデザインは全ての人の役にたつ|エリーズ・ロイ TED Talk




■障がい者のためのデザインは全ての人の役にたつ

Innovation

by Boegh(画像:Creative Commons)

Elise Roy エリーズ・ロイ:障がい者のためのデザインは全ての人の役に立つ

(Sep 2015、TED)

障がい者の権利を専門とする弁護士であり、デザイン思考の実践者でもある彼女は、耳が聞こえないことによって、世界を独自の方法で経験し、理解しているのだと言います。そしてこの視点こそが、私たちが抱える大きな問題のいくつかを解決に導きうるものなのだと。「まず障がい者のためにデザインすれば、健常者のためにデザインする場合よりも、より良い解決策に行き当たることが多いのです」と、彼女は語っています。

聴覚障害を持つエリーズ・ロイさんによれば、耳が聞こえないことによって世界を独自の方法で経験し、理解しているそうです。

そして、その視点が私たちが抱える問題を解決する手助けになってくれるのであり、障碍者のためのデザインをすることが世界に抱える問題を解決に導いてくれるのだそうです。

「車椅子ユーザー同士が体験をシェアできる、世界最大のプラットフォームを作りたい!」|「みんなでつくるバリアフリーマップ」織田友理子さんによるプレゼンテーションで紹介し、Google インパクトチャレンジのグランプリを受賞した「みんなでつくるバリアフリーマップ」のNPO法人PADM代表織田友理子さんのツイートによれば、車椅子の人は4.5センチの段差は一人では超えることのできないため、初めての場所に行く時、時間をかけた綿密なリサーチをしなければならないそうです。

そこでプレゼンされたのが、「みんなでつくるバリアフリーマップ」です。

どういう場所が行きやすい場所なのかをマップ化することができれば、それだけ多くの人が訪れることにつながります。

また、車いすユーザーが行きやすい場所というのは高齢者の方にとっても、お子さんをお持ちのご家族にとっても安全で行きやすい場所になると考えられます。

オストメイト(人工肛門保有者、人工膀胱保有者)のための生活支援アプリ「オストメイトナビ」にyろえば、オストメイト(人工肛門保有者、人工膀胱保有者)の方は外出時に排泄、排尿に不安を抱えているため、対応トイレの位置情報を共有するアプリというのは重要なサービスであり、こうした視点から街を変えていく重要性を感じたことを思い出します。

【関連記事】

問題解決するためのアプローチには様々な方法があると思いますが、「イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則」(著:スティーブン・ジョンソン)で紹介された保育器のエピソードが印象的です。

イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則

Steven Johnson:スティーブン ジョンソン「良いアイデアはどこで生まれる?」

(Jul 2010、TED)

詳しい内容はTED TALKを見てもらったり、本を読んでいただくことにして、大まかな内容をまとめると、次の通りです。

未熟児を暖めるための近代的な新生児用の保育器を使い、途上国における幼児死亡率が高いという問題を解決しようと、保育器を送るのですが、これには実は問題が2つありました。

一つは、4万ドルと高価なこと。

そして、もう一つは、修理ができないこと。

4万ドルの保育器をアフリカのある村に送って、数年は役になっても、修理をする部品もなければ、技術者もいないため、お金を送って解決できる問題でもなく、壊れたらそのまま放置されてしまうのです。

そこで、ティモシー・プレステロが考えたのは、途上国にあるもので新生児用の保育器を作るというアイデアです。

途上国では、車が走っており、また車をメンテナンスする技術者もいます。

そのアイデアを基に作ったのが、車の部品だけで作った新生児用の保育器です。

ヘッドライトを熱源として、バッテリーで動かします。

壊れた時には車の部品を入手すれば、修理をすることができます。

このエピソードで大事だと感じたのは、最先端のものだから問題解決するための素晴らしいアイデアというわけではなく、その問題を解決したい人たちにとって、最も最適なアイデアこそ素晴らしいアイデアだということです。

その視点から考えると、障がいを持つ方が自身が直面する問題をデザイン思考を持って解決するというのはいい方法だと考えられます。




■デザイン思考

Design Thinking team

by Mario Gonzalez(画像:Creative Commons)

先程の「車の部品だけで作った新生児用の保育器」のケースを基にデザイン思考について考えてみたいと思います。

Elise Roy エリーズ・ロイ:障がい者のためのデザインは全ての人の役に立つ

(Sep 2015、TED)

デザイン思考は 革新と問題解決のプロセスです それには5つの段階があります 第1段階は問題を定義し その制約を理解することです 第2段階は実生活の中で 人々を観察し 人々に共感することです 第3段階はたくさんアイデアを出すこと 多ければ多いほど 大胆であればあるほど いいのです 第4段階は試作です できる限り 見つかるものを全て集めて 解決法を模倣し 試験して 改善します 最後に 実行です 考えた解決法が 持続可能であるようにします

【第1段階】問題を定義しその制約を理解する

  • 途上国における幼児死亡率が高い
  • 近代的な新生児用の保育器は高い
  • 修理ができる技術者がいない

【第2段階】実生活の中で人々を観察し人々に共感すること

  • 途上国では、車が走っている
  • 車をメンテナンスする技術者もいる

【第3段階】たくさんアイデアを出すこと

  • 「車の部品だけで作った新生児用の保育器」

【第4段階】試作(解決法を模倣し試験して改善する)

  • ヘッドライトを熱源として、バッテリーで動かす。
  • 壊れた時には車の部品を入手すれば、修理をすることができる。

【第5段階】実行(考えた解決法が持続可能であること)

  • 壊れた時には車の部品を入手すれば、修理をすることができるということから、「車の部品だけで作った新生児用の保育器」というのは、第5段階の考えた解決方法が持続可能であるという要件を満たしています。

いろんな立場の人たちがデザイン思考をもって問題解決に向けてアプローチをするともっと世界はよい方向に進むのではないでしょうか?







【デザイン 関連記事】