1977年に任天堂から”光線銃SP”シリーズの後継玩具として、「光線銃 ダックハント」が発売された。当時の価格で9,500円という高額な玩具である。
オレは既に高校生で玩具からは卒業していたから、そんな玩具が発売されていることも知らなかった。それを知ったのは2000年代の半ば頃になってからである。
「光線銃 ダックハント」は、”光線銃SP”を生み出した横井軍平がアナログ技術の粋を集めて手掛けた凄まじい玩具だった。
なにしろ壁やスクリーンに投射されたカモを光線銃で狙い撃ち、飛んでくるカモの映像を撃ち落とすことができるのである。
銃のストロボ光がカモに反射して本体センサーに当てるという仕掛けで、カモの飛び方には数パターンあって、命中すると”ガァガァ”と鳴き声をたてるようになっていた。
オレはこの玩具の未使用品を2008年2月に入手したのだけれど、実際に動かしてみて、その巧妙さに驚いたものだ。
その仕組みについて概要を知ったのは、2015年に出版された「任天堂ノスタルジー 横井軍平とその時代」という書籍によってである。
オレはこの本で、子供の頃に目にしていた”ウルトラハンド”などの傑作玩具を創り出していた”横井軍平という人のことを知った。
「光線銃 ダックハント」が発売される前年の1976年にはインベーダーゲームが登場して、ゲームはデジタルの世界に移っていった。
玩具は時代と共に変化していくし、アナログもデジタルもそれぞれに楽しさがある。人間自体がアナログの存在である以上、アナログがなくなることはないし、アナログとデジタルは融合されていく。
だから「光線銃 ダックハント」はエレクトロニクスを使ってアナログ技術の粋を集めた最後の傑作玩具かもしれない。